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ひとつの錐と
ひとつの傷
その間にあるものすべてが
錐により傷に押し込まれてゆく
錐により 錐により 錐により
奏でる前に
降っていた
奏でられるはずのものが
....
五つとひとつの指で実をささえ
右は左の午後を見わたした
こぼれゆくものを
見わたした
鉄とガラスのはざまの蜘蛛
ずっと光を投げつづけている
陽でも灯でもない
雨の ....
ない花の
ない花言葉
曇と光に
隔てられる朝
あなたには誰もおらず
聞き耳をたて
鼓動はひとつ
あなたしか あなたにはおらず
雨の羽虫
水に映らな ....
ひとさし指が青く
午後に挿される
最初に想い出し
最初に忘れるもの
夜に響く手と
真夜中に響く手との差異
進み去る方へ縮む手の群れ
闇の近くに輪を描く
....