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流域に微笑むかしらがのお婆

湯が森にしたたる空の背中から

ストーブに寄る祖父千度目の感応

逸脱した章の一部に爪を下ろす

濡れかかりに廃墟を突き出るホバークラフト

眩しい森 ....
欺く地図逆さにし折る鶴の形に

光る雲なんか見たことない黒い水の排出

やまくさかんむりさんずいへんひとはしらはし

町並みを星が遮ることもある

渦なれどなぞるには感覚を要する

 ....
薄い封筒重ねていく青ざめたスクリーン

花うしろひらく色すみればたふらい

水面の鳩分裂し沈む石

絶えず笑う女と袖を結ぶ習わし

搾られる以前の果汁内包する墓

雨に浸るきれいな ....
司教が柵を出るそれまでの恐い蛇

糸あっさりと天を衝き静かなる燃焼

鳥ら遊ぶ糊の湖の低い空

カサカサと鳴く魚枯れ木に漂う

絵の両手に持て余す渦模写間に合う

這う背中を受話器 ....
十字路滴るほど赤く頭上に滴ってくる

壁に乗って花の柱を見上げている

みずうみとまぶた重なり合うまどろみ

虫の音に噛みしめられて向く左

逃げ来た豚立ち上がり我を干すかの回想

 ....
どこまでも巨大な川の字の一画

火を隔つ窓に照らされ痣を見る

屋根に垂れて足りるインクあと西に沈む

弾いている鍵盤に指輪置く婦人

書は棚に慄然と収まり雷雨

骨を糸で吊し・持 ....
頬を伝うスペードの影月光浴びて

滝のそばで膨らむぬいぐるみの静けさ

想像上入り組んでいる鯨は筒

生まれ変わる前に貸した三輪車でやって来た

髪を外に垂らす日の夜の長い髪

船 ....
眼鏡の水滴外して見るぼやけて星空

雨に青い花畑は誰かの記憶

まろき我が妻は蛙の父の目だ

遅れて来る 古くさびれた息 谷溶け

鍵穴に最後の留守を告げてゆく

フラスコから身を ....
河童溶けて鉄骨手を振るのみ園内

立体の森に潰されに川下り

滑車冷凍され動かずそこへ山が近付く

二本の陸橋翼に見立てるだけ入水

女神像内部は魂吹きすさぶ都市

床が這って外に ....
天気図に愚妹押し当て銅線引く

鞄に灰詰め旅人塔遠くから見る

時が止まれる木を育てている砂漠の真ん中

零時着現地解散十九頭

立ちすくむ響きの行き止まりの野原

月にあるという ....
猿が落とした果実も猿もやわらかい

蔓草ピタリと止まり中二階のある家

連呼して草原の上を吹きわたる

老人生き存え殺風景をかくのみ

霞破る舌なめずりに継ぎ目なし

近眼に花火打 ....
麓浮上懐の時計二時を過ぎ

性を秘めてシスターなにかの水を撒く

冷蔵庫の側面ふと息つきトマト揺れる

線路錆びて夜の街濡れているという

建設途中のロビーで次の語り手待つ

妻は ....
商店街が天と地 逆手に線香花火

悪路にゴザ敷いて電子ルーレット回す一団

冷淡に吐き捨てるネジ 汽笛遠く

星座低い宿破れて何もない空

受け皿に砂糖盛り上げ相容れぬ

ポテチこ ....
炎天の亀キャラメルと取り替える

花失い壁画に孤児の不滅見える

踊る文字 遺跡の空欄に向かって

祖父来ず農地の爪楊枝に近付けとある

こころ以外なにももたず砂漠に凹部

佳作の ....
ひらひらと蝶と魚影に紙吹雪

風の支配 村人たちは生き戦

外した眼鏡を水田に蛙現れる

花多く残像にして這う稲妻

錆びるまで湖にすそひたす喪主

ミカの怒り裏返しに口だけ見え
 ....
凶と出よ地上百メートルの長箱

指紋消して他人の庭を跳ね歩く

港の突端あるいは渦巻くプランクトン

農夫立つ雨後の田舎に真っ黒に

近眼にクリーム自ずから尖る

シャツの下に死ぬ ....
受け取る形の器に手紙などよそう

近年から銀を塗られた鹿が来る

顔から火が出る者は仰向け 二十時の火

森の一本の木を凍らせ水場のグラフ

宇宙というカテゴリーに血で結ばれ挙式

 ....
肩に通う筋肉遠く山奥から

道ひかる部落へ無色の板を手に

感染経路青く塗る母国語を捨てて

電線にティッシュ弾かれ交わる影

へこむ石に頭を寄せては返すひと

電球吊った天井高く ....
うっすらと花を押さえるのは見ぬふり

小鳥が浮かんだり沈んだりする空か水

また鴉に戻ろうとした墨汁で書く

ごみを焼く朝の延焼覆う影

無償ではたらく室内窓割って室外

テーブル ....
灰に浮く花は崩れた春の迷彩

非植化物の黒い目をして這ってすすむ

風上を骨まで笑う羊飼い

槍たててみる砂場おなじモンゴルまで

無を紙で包んで馬の形にする

待ちびと来たらず鏡 ....
ロシヤからノコギリの歯の黒い波

地下六百階木造視聴覚室付

行き倒れの口手動に軽快な曲

誰と呼ぶ戸の隙間から引き込む自分

人員の和睦の音 血と広がり午後

立ち清くて長いなら ....
気化に耐え盆地に移り住む水滴

旅先のしじまに杖をなくすだろう

洞窟の続きは青く夢でみる

家具から饐えた匂い 窓に海を貼り直す

腕見えて口の位置からカウントダウン

危機はカ ....
長袖の一縷の解れに砂集まる

葉が止まる空中の奥に世界地図

つちくれ赤らむ妄執待ちきれず耕す

漂白された信者らの手に小さなギヤ

記憶に触れてトキの死・海の名を統べる

曇り空 ....
暗いから楽譜燃やして音を出す

戸を擦る皮膚をして階段の裏歩く

異なる星の青空まで抜けるような青空

コラージュ画さす指思いだまるオウム

トンカチ持ちシーソー脅しにいくひ孫

 ....
光る眼連れ大空にかじかむ岬

軒先は森宿りの場所十字に裂かれて

裏路地に塩乾き谷思い出す

読み聞かせる目録に黒い羊ばかり

田に積もる雪より微かな交響曲

柵嵌め込む洞窟内部の ....
プレハブに綿詰める夢眠るため

数億の目が一斉に閉じ中断

傷付くたび水門ひらく血に代わり

村長を慈しみ終える村の過疎

病床から網引きずり出す雪の力

正座して地脈隠している来 ....
ベニヤ板敷き詰めても敷き詰めても虹

脈絡あり命に別条空に船

囲まれて災禍に値する喝采

庭園中に仏壇ひらく昼下がり

目に見えぬうたになり推し量られる

極度に簡素化されて棒に ....
杖で次の間に導かれた煙と同席

みずからすいと立ちあがり山へ みずを張りに

岸辺の壁椅子で殴り第三の破片

折れるまで陸も日照りも続きます

コーヒー垂れるグラスにバザーの犇めきある ....
先代よこころに蔦が下りてきた

門番見られていることに気付き互い違いの塀

火を焚く婦人会 屋上に別の一団

苦闘の末つかんだ藁 海がそこまで

林に風ガスコンロの火力と左右

通 ....
真っ赤なポストを死顔みたいに撫でると雪

灰踏み固める笑顔第二波期待して

テーブルを隔てて海と侵し合う

降りるあてのない壁の上歩いている

暁の尖端で虫が震えていた

悲報掻き ....
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