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とても狭くて
天井が低いから
うっかりすると頭をぶつけてしまう
夏は暑いし
冬は寒いし
もう使わないのに
捨てられないベビーベッドとか
読まれたがっている本たちに
囲まれて思う
一生 ....
覚えたての縦笛から
頼りない汽笛のような音が
飛び出したから
思わず笑って
私は手をふる

どこかへいくの?
またかえってくるよ

音を作るこどもたちが
今でもほら
とても楽しげ ....
座ったときの
長さが
一体なにを証明するのか
わからないまま
――座って見る景色はほんの少し懐かしいけれど
――座ってみる景色は背伸びする必要がないから
私は
計られ続けてきたけれど
 ....
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
 ....
もくれんの
白いたまごが
割れると
たちどころに
小鳥が生まれ
空にむかって
さえずりをはじめる
風が吹けば
はばたく真似事もする
翼は
永遠に無垢なまま
飛び立つことをしないま ....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている

あなたはわたし
わたしはあなた
 ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ

中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
わたしに
ゆ という文字を
教えてくれた人は
あたかもそれを
ひとふでがきのように
描いてみせるので
その曲線の美しさに
魅せられたわたしは
日暮れて
昏くなるまで
いくどもそれを ....
そのわらべうたは
作者不明だという

畑に添って
作られた石垣
その隙間から
シダやペンペン草が顔を出し
しっぽがふたつに別れた小さな虫が
忙しそうに出たり入ったり
雨が降れば
水 ....
左手首の動脈を
右手の指先でさぐり当てる
脈に触れれば
自然とそれを数えてしまう
まるで
生きていることを
確認するように
えいえんに似たそのリズムを

日が暮れて
血の匂いがする ....
指の絆創膏をはがしてみれば
血は止まったものの
いまだ なまめかしく
傷はそこにあった

たった一日
空気を遮断されただけで そこは
色が蒸発したように
あっけらかんと白く
まるで湯 ....
たまねぎの
ちゃいろの
うすかわを剥く
のり、で
はったわけでもないのに
なかみのかたちに
ぴたりとはりついて
かわいてしまった
うすかわは
もう
うすかわ以外の
何者でもない
 ....
川伝いに伸びる
でこぼこ道の向こうから
菜の花がきれいね、と
懐かしい人が
光をまとってやってくる
どこかで硝子製の呼び鈴に似た
澄んだ鳥の声が響く

あなた、
ずいぶんともう
大 ....
知りたかった
僕を
取り巻く
空気の中に

どれだけの
水の粒子が
溶けているのか

手と手
心と心
乾燥地帯で
ぶつかるたびに
静電気が起き
そこに生まれるのは
青白 ....
もう誰も飼ってないのに猫は自分の首輪をはずせない

猫がいる 怒りもせずに泣きもせず人のいない村で猫が生きている
ゆっくりと
頁をめくる
それは
何かを
惜しむような
誰かを
見送るような
こころもちで
結末を
知ってしまえば
この手の中の
物語が終わってしまうから

桜は咲いて散る
 ....
春色のセーターをほどく
うねに添って並ぶ
小さな毛糸の環が
現れては消え
現れては消え
優しく解体されながら
終点に向かう

逆回転を奏でる音楽のように
くぐっては消え
くぐっては ....
手近な男とくっついちゃって
あたしもヤキがまわったかなあと
それが照れ隠しなのは
彼女の顔を見たらわかる

手近な言葉
ありふれた言葉
黒板消しで拭くたびに
私の屋根に白いチョークの粉 ....
ここに居た

そこに居た

あちらこちらに
居た
ことを記す

愛を叫ぶ雨蛙を乗せた丸い大きな葉も
その傍らに転がっていた水晶のような玉も
美しい色を持つ手が
幾重にも重なったよ ....
左腕に
浮き出た内出血の痣
八年前に受けた
ハーセプチンの点滴は
あたしの血管までもぼろぼろにして
以来 採血は
看護士泣かせの儀式となった
その痕を
老いた母は
かわいそうにと
 ....
西側の二脚の椅子に
座っていた
子らは
ふくふくと育ち
ようようと三月へと出かけていった

つながったひとつのベンチに
結果 残されたようになった
夫婦は
横に座って
同じ景色を眺 ....
影と影は
こんなにもたやすく
ひとつになれる

犬とわたし
樹とわたし
電信柱とわたし
あなたとわたし

昼に束ねられていた
よそよそしさは
夜がくれば
溶け
すべての影と影 ....
早瀬のそばの竹やぶに
住んでおりましたので
笹舟を流しては遊んだものです
手を離すと同時に
それは勢いよく
旅立っていきました
赤い橋をくぐるまでは
なんとか目で追うことができましたが
 ....
うっかりとすずめの焼き鳥食べてから雀の顔を直視してない

何年も開けられてない旅行カバンとんでもないうっかりが出てきそうで

ガソリンいれるとこなんで開けっ放しなん? 娘の指摘にうろたえて あ ....
スーパーで並んでいたときのこと

小学校一年くらいの男の子が
母親とおぼしき人に
何やら言いに行ったかとおもうやいなや
ばしっと音が響きわたるほどの勢いで
頭をはたかれた

理由はわか ....
空もなく
風もなく
光もなく
雨も降らない
季節がない
そんなところに命があるのだろうか

あるよ。
声がした
家の建つ
ベタ基礎コンクリートで
固められた
土の中から
芽吹 ....
水を張った洗面器
顔を沈める姉
ストップウォッチを押す弟
呆れて素通りする母
あくびをする猫

どれだけ息を止めていられるか
平凡な家庭のちゃぶ台の上で
流行ったのは
危険な遊戯
 ....
こんな日は
決まって風が泣く

弔いはもう済ませたというのに

細い通路に
冬という冬が
我もわれもと押し寄せて
ひゅうう ひゅううと
うなるのだ

夢遊病者のように
あの音を ....
あゝ薔薇が咲きました
昨日までは蕾であったのに

馬鹿だね 何もこんな寒い日を
選んで咲くことないのに

小学校から知っている息子の友達は自衛隊に入隊するといいます
有事の際には戦うので ....
冬景色 北国生まれじゃないけれど懐かしいわぁ今日は湯豆腐

かつをぶし削って薫る郷愁は年経るごとに熟成します

水仙をたどれば春はつながるよ ふるさとの土 温かい風

手作りの竹馬結局乗れ ....
梅昆布茶さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(564)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
屋根裏- そらの珊 ...自由詩10*14-5-7
楽隊- そらの珊 ...自由詩1914-5-6
さよなら、座高- そらの珊 ...自由詩12*14-5-5
衣替え- そらの珊 ...自由詩2214-5-2
もくれん- そらの珊 ...自由詩1614-5-1
相似形- そらの珊 ...自由詩1514-4-25
かあさんも受験生だった頃がある- そらの珊 ...自由詩1114-4-24
- そらの珊 ...自由詩2614-4-20
アルカディア- そらの珊 ...自由詩20*14-4-18
夜の洞窟で- そらの珊 ...自由詩12*14-4-17
溺れる人魚- そらの珊 ...自由詩22*14-4-16
うすかわ- そらの珊 ...自由詩20*14-3-24
きつねのよめいり- そらの珊 ...自由詩20*14-3-21
湿度計のある部屋- そらの珊 ...自由詩16*14-3-12
猫が生きている- そらの珊 ...短歌11*14-3-11
桜百景- そらの珊 ...自由詩1314-3-10
再び生きる- そらの珊 ...自由詩17*14-3-7
春という字【詩人サークル群青三月の課題「春」への提出作品】- そらの珊 ...自由詩17+*14-3-4
仮埋葬- そらの珊 ...自由詩18*14-3-2
【紫の華】_詩人サークル「群青」二月のお題「紫」への提出作品- そらの珊 ...自由詩13*14-2-28
二月は未来を調整します- そらの珊 ...自由詩17*14-2-27
影と影- そらの珊 ...自由詩14*14-2-24
笹舟- そらの珊 ...自由詩17*14-2-23
うっかり- そらの珊 ...短歌7*14-2-22
ただそれだけのこと- そらの珊 ...自由詩20*14-2-22
- そらの珊 ...自由詩16*14-2-15
危険な遊戯- そらの珊 ...自由詩17*14-2-12
もがりぶえ- そらの珊 ...自由詩20*14-2-9
君死にたまふことなかれ- そらの珊 ...自由詩15+*14-2-7
郷愁- そらの珊 ...短歌12*14-2-6

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