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洗濯物が溜まるので
夕方まで洗濯機を回す
(日差しが格別透き通る日
遠くを選挙カーが通る)
乾燥まで回すと
匂いがちょっと嫌なので
乾燥かけず外に干す
外はもうすっかり暗いので
夜空 ....
低い電線が空を結ぶ春の通り道
見えない花粉たちのように
子供らは散ってしまって
もう影もない
僕は薄い布団に丸まって
よそよそしく朝を呼吸する
枕元のチョコレートを少しかじって
....
薄くにじむ曇天に
陽は破れ
私たちは歩く
口の尖った犬を抱えて
濃い実の残る柿の梢に
風をぶら下げて
風の飛び去る松の林に
大きな瞳を棲まわせて
薄くにじむ曇天に
陽は動かな ....
二重に急落する坂を
ブレーキを絞りながら降りて
ようやく
斜度も緩んで気も緩んで
幅広の川の光が射し 鳥の声が差し
剛健なる自転車は
ただならぬ志操にて縁石にまぐわい
すっ飛ぶ地面と夏に ....
わたしたちは小さな生き物です
(小さな生き物)
どの程度かというと
気にさわるほどの
空き缶の下 おっと
踏まないように ちょっと
たたらを踏む
あなたのつま先にさしさわるほどの
....
僕たちは食べないと生きていけないから
何か食べないと生きていけないから
農薬の入ったキャベツや
防腐剤たっぷりのおにぎりなんかを
たくさん食べる
昨日久しぶりに
たまごかけご飯を食べた
....
かあさんの右腕にぶら下がって
見上げるのは好きだな
両足
なんかもう 引きずっちゃって
かあさんも笑うから
お前は泣くけど
そんときは後ろ足で こっそり
蹴とばしてやるから
かあさ ....
一週間ぶりの晴れ間に
花を買った
鉢植えの冬薔薇
台所のテーブルに
水を与えた
〈閉塞く冬となる〉
短い初冬の晴れ間をぬって
銃を買った
実弾百発合わせて二万のコルト
ちょっ ....
松の根元に
腕を組んで眠る彼女である
彼女はここいらの生まれではない
こんなにも湿った(朝の)あぜ道のそばでは
彼女は豊穣なる火の国の生まれだ
だからよくしゃべりもするし
燃えたりする ....
玄関を出ると黒い靴ひもがほどけて
夕暮れの空が広がった
垂れ落ちた靴ひもの先に
老婆がつかまっていた
ぼくはほどけたひもを結び終えて
伸びをする
高く 大きく
今日の夕焼けの売れ行き ....