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握った手を離したくはありません。
父が寂しくないようにと
両手いっぱいの白菊を
棺の中に入れました。
(お父さんさようなら。)
その一言が言えなくて
私はもう一度
両手いっぱいの白菊を
....
都心へと続く田んぼの中の線路。
田植えを終えて一息つきながら
父がおにぎりを頬張った。
梅・おかか・こんぶ。
母が麦茶と重箱を差し出しながら
にっこりと笑っている。
汗を拭いて ....
平行線がモニターに表れて
力の抜けた父の身体は
関節を失った人形のように
母の腕の中で横たわる。
(星がいつもより余計に輝いて、ファミリーワゴンの屋根が強く反射していた。)
....
客席の端に座り
マイクの前に立つ声を聞きながら
抱きしめられない寂しさでうつむいている。
「去年の今頃は、あなたのことを知らなかった・・・・。」
聞き馴れた音楽が流れ
そ ....
駅に降りて
商店街のアーケードを走りながら
雨に濡れて、重たい洗濯物の後始末を計画した。
(雨だから、濯ぎだけでいいや。。)と
思いつつ
お気に入りの服が無かったか?
....
久方ぶりの帰宅に
カップ麺を買い込んで
メータが振(ぶ)れないガスで湯を沸かす。
(それは、帰宅と言うより出かけるに近い。。)
…家ノ中ハ、他人事ノ様…
緑の無い中庭と
....
ミルクティーを飲むと
フランスパンのサンドイッチが食べたくなるの。
食パンも、バターロールも
駄目なのよ。
ハム・レタスが
卵と一緒になって
ふやけたパンで
食べ ....
「結婚するから。。」
笑顔で、おめでとうを言ったら大人です。。
(百万円の、札束の風呂敷包を脳天に落としてあげる。。)
目を、合わせたくないのなら
目を、伏せたままでいたい ....