ポエトリー・リーディング。
梓ゆい

客席の端に座り

マイクの前に立つ声を聞きながら

抱きしめられない寂しさでうつむいている。

「去年の今頃は、あなたのことを知らなかった・・・・。」

聞き馴れた音楽が流れ

その声が再び聞こえるとき

私の両目もまた

舞台の上で詩を読むあなたを

絶えず捕らえている。

(一言/一文字の持つ力は、時として破壊を招くほど恐ろしいと考えた事があるのだろうか?)

緊張で震える片足は

床に置いたグラスを蹴飛ばして

半分以上のモスコミュールを床にぶちまけた。

その水滴は

溜め込む涙にも似ながら木目に染みて

「あなたの紡ぐ言葉になりたい。あなたの愛する詩になりたい。」

と言うつぶやきさえもまた

ウーロン茶と一緒に

流れていった・・・・。



自由詩 ポエトリー・リーディング。 Copyright 梓ゆい 2015-04-02 08:09:55
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