すべてのおすすめ
一茶忌やお馬の前に仁王立ち
鳥葬の似合う枯野を探しけり
炉話の途中で花を出す手品
冬の暮なんにも思いつかへんわ
節分のセーラー服の鬼の角
氷柱から落ちる雫のリズム感
裸木と詩人が歩く散歩道
オーロラが空を舞う下氷切る
配給のおにぎりの味阪神忌
ちりとりで雪掻く朝やねこまんま
ヨガマット敷いてピラティス餅の花
始発までカラオケルーム寒鴉
一言も発せず暮れる三ヶ日
初東風が撫でる黒髪りんご飴
初富士を拝みに昇る歩道橋
実らない恋を弔う年の内
人参に歯型をつけるロシア美女
肋骨が折れる咳してジンライム
風邪ひいて同時に休む深い仲
ひとりでも生きていけるよ浮寝鳥
神無月歌舞伎町まで追い込まれ
望まれてあなたの髪に入る冬
待つことも降ることもなし神帰月
呼べば降る呼ばずとも降る鬼火かな
骨の冬気付かず歩み骨となる
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立冬の一日分のバイト代
道祖神に土下座している秋の果て
ハロウイン電気を消して居留守の夜
だくだくと環椎の音よっぱらい
木枯らしに土産を置いて父の夜
ネクタイは符丁の小切れ今何本
新橋のあれは夜汽車よ過去へ発つ
未明の背汽笛響くか耳着けば
少年の頃は機関士そらにかぜ
碇星社会福祉に入れるメス
セロトニン増やす薬や秋簾
寝る前に玉蜀黍を一齧り
地虫鳴く黒き紙幣を買いにけり
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