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晴れた日も、雨の日も、花束は
年式の古い、ベージュのビートルの
黴臭いトランクに入れられていた
(どこがどうとは言わないが)蝸牛に似た平べったい影が
後部座席にいつ ....
かなしい歌をつれて、
春風がきみの頬をさわるとき
ひとびとのささやきは町を彩り
光が、もの静かな雨のように靴に落ちる
白い花の影がひとつ、心のなかに揺れている
....
女は戯画のなかのインディアンみたいな出で立ちをして
紙紐を使って ベッドに男の四肢を括り付けていた
人工の冷めた光は磨りガラスの窓を白く染め
取れかけた口紅を不気味に照ら ....
春、ひとすじの川が
豊かな緑に彩どられるころ
薄い衣をまとっていくといい
きみは女なのだから
岸のむこう側では
きれいなかたちをした石が
見 ....
四方の壁が 昨晩から私を見つめている
あるいはさりげなく置かれたひとつの椅子を
私の脳のなかで形を失いつつある、
アメーバ状の夢を……
その闘牛士は朝食 ....
階段をおりたら
つぎの朝がまっている
固く冷めたトーストをほおばり
しばらく逡巡した末テレビをつける
ドアをあけたら、いつもどおりの
灰色の道路が ....
ハンカチに指で書いた
とうめいなそのポエムは
日なたと影のにおいがする
歯をみせてわらってよ
はにかんだきみの口元が
不思議にうごくのも好きだけど
高い ....
老人が籾殻を焼いている
見えそうで見えない光のような匂いだ
空は青く、少しあどけない
わたしという言葉はもう
ここには似合わない
赤茶けた四角い煉 ....
向かいの家の窓から
女が身を乗り出して下を見ている
左手になにか小さいものを持っている
それがなにかまでは見えない ここからは
コンセントに埃が溜ってい ....
銀紙のいたみが残っている
なにをつつんでいたのだろう
じょじょに
曲がりくねり ながら
朝になって夜になって
夜になって
夜になって
言葉はみじか ....
かなしさは夜のなかにある。
体育の時間、ぼくはだれともペアをつくれ
ずに、みんなが踊るフォークダンスを眺めて
いた。それは濁った河を渡る水牛を眺めるの
....
円盤が{ルビ宙=そら}をまわる
ふたつめのタブが開かれる
様子をうかがうみたいに
今
ブラームス、
銀色のデスク、
影をおとす冷徹
ここはどこだろ ....
汽車にのって
なまぬるい水筒にぼくは口をつけた
鞄からとりだしたおむすびは少し
いびつな形にへこんでしまった
ほおばりながら見まわしてみるけれど、
このなかに ....
小学校は
投票所になっていた
冬のひととき
ぶらさがるカーテンの波を
光の風が揺らす教室
長靴にしのびこんだ
濡れ雪を気にしながら
ま ....
頭の中に
一匹の犬が眠っている
擦れてしまって読みとれない
古い名札のついた小屋で
静脈のほそい暗がりを
血液がそっと滑ってゆく
夜、
....
きのうの激しい雨が
まだ宿る、濡れた土に
枯れた牙を埋める
擦りきれたビデオテープの
不安定な映像のように
きのうのきみは
鏡よりきつく
....
幼い男児が
朝、
一匹の蜥蜴を手に捕らえる
厚い辞書に差し込んだ
すみれ色の栞のような朝
馬鹿と呼ばれて
夫は酒瓶を叩きつけ
妻はヒステリックに叫んだ
馬鹿と呼ばれて
有名人は会見を開き
一般人は参考書を買いに走った
....
出る幕ではなかったのだ
悲しみも
砂粒のごとき憐憫も
わたしの心の切れ端ごと
烏に啄ばまれるがいいのだ
それは景色ではなかった
累々 ....
あなたの
からだの
どこかにある
おおきな
おおきな
おおきなうみ
ちいさな
ちいさな
いまは
ちいさなぼくだ ....
長く
太い縄があるといい
南中を見計らい
太陽に繋いでくれ
なるたけ
丈夫な縄がいい
僕を
あの光に吊るしてくれ
....
きいてね。
きいたこと、あってもね。
うるさいだろうけど、ね。
ねぇ、きいてね。
きいてね。
その耳たぶでね。
もっと奥のほう、
まごころ ....
きみはさぼてん。
あいらしい
よるは
あいいろのさばく
あいらしい、
そばかすでわらって。
こころはまんまる、
....
空色の
ポリバケツに
堆積する
首を
寝違えた詩人の
寝違えた詩
綺麗で
あくまで綺麗で
読む気がしないほど綺麗だっ ....
和田カマリさんの草野春心さんおすすめリスト
(24)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
年式の古いベージュのビートル
-
草野春心
自由詩
4
14-3-6
春の歌
-
草野春心
自由詩
6
14-2-27
女たち
-
草野春心
自由詩
3
14-2-11
薄い衣
-
草野春心
自由詩
7*
14-2-5
形を失いつつある夢
-
草野春心
自由詩
1
13-10-27
階段をおりたら
-
草野春心
自由詩
1
13-10-14
はにかみ
-
草野春心
自由詩
7
13-10-2
籾殻
-
草野春心
自由詩
8
13-9-30
鈍行列車
-
草野春心
自由詩
9
13-9-28
銀紙
-
草野春心
自由詩
7
13-9-24
かなしさは夜のなかに
-
草野春心
自由詩
20*
13-9-13
円盤
-
草野春心
自由詩
3
13-7-6
汽車にのって
-
草野春心
自由詩
9
13-7-5
投票所
-
草野春心
自由詩
6
12-12-23
静脈
-
草野春心
自由詩
13*
12-11-24
枯れた牙
-
草野春心
自由詩
8*
12-10-7
栞
-
草野春心
自由詩
7*
12-9-29
馬鹿と呼ばれて
-
草野春心
自由詩
1*
11-7-6
礫
-
草野春心
自由詩
4*
11-5-28
くじら
-
草野春心
自由詩
7*
11-5-24
南中
-
草野春心
自由詩
6*
11-5-21
ね。
-
草野春心
自由詩
17*
11-5-18
さぼてん
-
草野春心
自由詩
3*
11-5-12
捨てられた詩
-
草野春心
自由詩
13*
11-5-8
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