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畳の下の
床下の
深い土に掘る穴の底
沈めた箱に
堅く蓋をして
重しを載せる

あの人の上に
土をかけ

床板を
畳を
元通りに載せて
二度と
覗いたりしない

その上 ....
君の言葉が泳ぐのは
淀みのない海流

北上しながら溺れるのは
空と
水平線とのあり得ない接点

君が脱ぎ捨てたいのは
どこまでも纏いつく
垢じみた毛皮
切り捨てたいのは
画布に滲 ....
鳥の姿の失せた空には
鳥のかたちの欠落がある

影が消え
言葉は失われても
羽ばたいてゆく記憶が
風車をまわす

失われた鳥の形の
風が舞う


私は
声を出せるだろうか
 ....
沼のほとりにあなたは立って
覗き込む
濁る水底
揺らぐ藻の影
素早くよぎる魚の気配に
煌めく泡が
まっすぐに
昇ってくるのを待ちながら

言葉の淵にあなたは立って
覗き込む
尾び ....
都合の悪いことや
不快なことは
予め伏字にするという
配慮が
いつからかこの国では
行きとどいているので
よほど気をつけていなければ
事実は見えない
まして
事実を都合よく見誤ろうと ....
道化者
僕はただの小心者
小心だから
嘘をつく
ばれるに決まっている嘘を

はじめはうまくいっていた
あまりにも
うまくいきすぎて
引き返す道を失った

ばれるのが
怖くて
 ....
父は今日
返事をしなかった
話しかけても

目だけはじっと
私をみていた

まゆみだよ
わかる?

といっても
黙っていた

聞こえる?
と聞くと
うなずいた

声は ....
アナウンスが流れる

線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました


その鹿はどうなったのだろう

寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
 ....
語弊があるような言い回しは避けて
誤解を生むような表現は消して

本当に伝えたいことだけを

傷つけないように
耳を傾けてもらえるように

心を開いてもらえるように

気分を損ねな ....
笑われても
無視されても
ぽきぽき折れるばかりだった自尊心を
つっかい棒に
ただ適応することを
拒んだ


育っていけない子どもとして
倒れるために
長い間待った
ふるさとが沈む ....
夕暮れの少し前の空が
薄桃色に発光している
家々の壁も
屋根の雪も

空にはまだ白い月
解き放たれた風船のように
心細げに浮かんでいる

さっきはビルの上にいたのに
おとなりの
 ....
おにさんこちらてのなるほうへ
追いかけても
誰も捕まえられなかった
嫌になって
薄目をあけると
どうやら
周りに誰もいない
口惜しくて
やみくもに走ったら
迷子になった


何 ....
こんなふうに
穏やかに
労りながら
暮らしていけると思ったやさきに

何の前触れもなく溶岩のように
吹き上がる
怒りを
とどめようもなくぶつけてしまった

慎重に
優しく積み上げ ....
うろおぼえの風景の中を
戻って行く
繋いでいく

抜け出したい
と思った時
光が見えた

根毛を伸ばし
水を吸い上げる
双葉を拡げ
光を浴びる

暖かかった
柔らかかった
 ....
雪祭りで賑わう
地下街をあるいていた

柱の影から目の前に現れた人物が一瞬父かと思った
現実の父より
かなり若いし
実際の父は
病院のベッドで
寝たきりだと
すぐに気づいた

似 ....
雪は降り止み
風も途絶えた
満天の星空は
きりきりと冴えわたる
放射冷却の夜

氷のランタン
雪の壁
立ち止まり
眺める
子どもの頬
母親の手のひら
蝋燭の炎は揺れながら
あ ....
手紙を入れて
春の小川へ流してやるのだ

壜はゆらゆら流れて行って
コルクの栓もしだいに腐り
水が浸み
河口近くに沈むだろう
それとも海へ流れ着き
波に揉まれ
誰も聞かない音をたて
 ....
色褪せてしまうまで
崩れ落ちるまで
見届けたかった
遠くなる影を見送り
不在を確かめたなら
踵を返し
歩きだすはずだったのに
あとからついていったのだ
見失う一歩手前の距離を保ち
二 ....
夕暮れの空を見上げると
今日はお月さまがいない
と思ったら
真上やや後方から呼ばれた
「ココニイルヨ―」
ふりあおぐと三日月
こないだ見たときは
真っ黒な空の真ん中で
薄笑いの口みたい ....
伯父さんのお葬式の日に
父に会いに行った
病床で 夢と現のあわいを
ゆっくり行き来している父は
「今○○さんが来て行った」と
仲良くしていた兄の名を言う
その人が亡くなったという事を
お ....
みなさんどうかよいお年を
今年一年数々のご無礼を働いたことも
どうか水に流してください

わたしとしては
それなりに
誠意を尽くしたつもりです

努力が足りない事も
わかっています ....
ざらざらの掌で
温められ
擦られ
撫でまわされて
摩耗した挙句
まるく つややかな光を放つ
表面に一点の翳りもない
器が
轆轤の上に
遂に生成し得たとしても
掌の持ち主の
荒れた ....
西の空を覆う厚い雲を
僅かに縁取り
淡い光が
放射状に
さらなる高みへ腕を伸ばす
羽毛のような桃色の塊が
透明な大気の層に漂うあたりへ

空はいつまで記憶するだろう
人の視線を

 ....
渇いた湖底を
掠め
渦巻き
通過していく
そんな
低温の吹雪を

窓には無数のひび割れに似た
しばれ模様が張り付いて
空気中の水分は
耳にも
皮膚にも
触れない
喉も乾かして ....
鳥でなければ見たことのないはずの景色を
夢で見た

子どもの頃なら
空を慕った記憶はある

宇宙からの信号は
生まれた日から
届いていたのに
地表に張り付いたまま
私の未来は区切ら ....
冬になる前に
庭のバラを剪定した

咲き遅れた蕾の枝を
花瓶に挿しておいた
膨らみかけていた他の蕾は
次々に開くのに
その白薔薇の蕾は
しばらくはじっと蒼いまま

ある時
限界を ....
「すみません。おひとりさま1パックまでなんです。」

その日
特売の卵を2パック
かごに入れていた老人は
無情なレジ係にそう言われ
1パック取り上げられていた

解けかけた雪が
昨夜 ....
あともう少しと思うところで
火を止めるのよ
もう薪はくべなくていい
蓋をあけてはだめ
後は鍋ごとさめるのを
待つの
ゆっくりさめながら
ジャムはだんだんジャムになるから
リスの母さんは ....
冬の子どもたちが
落ち葉のマントを纏って
手をつなぎ
かごめかごめをしている

誰かが
あっちだ
と言って走り出すと
手をつないだままで
一斉に駆け出していく

遅れた子を 心配 ....
恐ろしくひょろ高い  
竹馬に乗って
海水のなくなった海の底を
歩いて行ったムーミンたち

私は歩道橋から
街を見下ろし
長い脚で
椴松や公孫樹の
街路樹を
ひょいひょいまたいで
 ....
イナエさんのLucyさんおすすめリスト(190)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カナリア_ー私が殺したあのひとー- Lucy自由詩11*14-3-14
もぐら叩き- Lucy自由詩12*14-3-14
鳥の影- Lucy自由詩26*14-3-7
沼のほとり- Lucy自由詩19*14-2-28
配慮- Lucy自由詩24+*14-2-25
ピノッキオ- Lucy自由詩11*14-2-25
父は今日- Lucy自由詩22+*14-2-20
鹿- Lucy自由詩26*14-2-16
本当のこと- Lucy自由詩20*14-2-15
水の村__Ⅱ- Lucy自由詩8*14-2-13
帰り道- Lucy自由詩10*14-2-12
めかくしおに- Lucy自由詩21*14-2-11
溶岩- Lucy自由詩13*14-2-10
モンタージュ- Lucy自由詩10*14-2-9
雪祭り- Lucy自由詩19*14-2-6
アイスキャンドルを灯す夜- Lucy自由詩12+*14-2-3
- Lucy自由詩17*14-1-27
複眼- Lucy自由詩16*14-1-14
お月さま- Lucy自由詩24*14-1-9
牧場- Lucy自由詩18*14-1-3
今年はこれでお終いです__(詩人サークル「群青」今月のお題「 ...- Lucy自由詩15*13-12-28
会わぬが華- Lucy自由詩20*13-12-23
「石狩川」- Lucy自由詩16*13-12-20
- Lucy自由詩21*13-12-17
鳥でなければ- Lucy自由詩19*13-12-13
白い蕾- Lucy自由詩18*13-12-9
卵2パック- Lucy自由詩23+*13-12-2
さめるまで- Lucy自由詩23*13-11-26
校庭- Lucy自由詩24*13-11-25
彗星が落ちてくる前に- Lucy自由詩16*13-11-23

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