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あの不安定だったひととき
この人のためなら
自分が持っているすべてを
投げ打っても構わないと思った
自分はこの一時、血迷っているだけなんだろうな、とは気付いていた
一晩も経てば、正気に戻 ....
孤独じゃないと 言い聞かせては
孤独でいようと 必死だったよ
いつかどこかで 出会いなおそうと
思えるくらいには 時が過ぎたよ
・
荒れ果てた町の 荒れ朽ちた部屋は
一人分だけの ....
<僕らの本当の誕生日>
はるか年上の 僕の友達へ
敬語を使うなと言って 跳ねるように歩く
話したくもないという戦争の話を
僕にだけは 話してくれた
家出した僕を その日の夜に
君が ....
<矛盾>
あなたを殺してしまいたい
でも
幸せにもなってほしいよ。
<矛盾なき矛盾>
本当に大切なものが
なすすべもなく消え去った時
もう残りの人生が余生でしかないと ....
決まった道を 決まったように帰る
いなくてもいい自分
ならば 通らなくてもいい道
同じドアを今日も開ける
帰らなくてもいい家
ならば 置き去りの孤独
明日は何かいいことがあると ....
抜けた髪を拾い集めて
飲み干せもしないグラスを舐めている
あんなに昔好きだったスツールも
今は
あんなに昔好きだった本の墓場
指先であばらをなぞる
骨がある
皮が包む
あん ....
本当が聞きたい あるものなら今ここで
僕の有限と君の有限の間で 不滅があると信じた
ずっと笑って指差して来たものを 君とだったから信じた
いつかは土に帰る
無かったことになる
五十年 ....
最近の子供は、外で遊ばない。
だからだめなのだ。
体も、心も、社会性も育たない。
家の中で、しょっちゅうゲームとSNS。
昔はこうじゃなかった。
最近の子供は、まったくだめだ。
■
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つまづく者を 見守る者は
つまづくことで何かを 掴んで来た者たちだ
つまづかないよう 見守る者は
つまづく度に何かを 失って来た者たちだ
石造りの壁に つながれたなら
不貞腐れてる間に ....
<イーゼル・ベーカリ>
イーゼルを看板代わりにした
街角のベーカリは通勤路
本日のメニューと季節限定
チョークは今日も鮮やかで
意外と個性の出るもので
あの人と彼女と彼と彼
....
れんがの家を覚えていますか
東の壁にはドアがあり
南の壁には窓があり
西の壁には物を置き
北の壁ではあなたが待つ
ドアを開けて壁をつたい
一度右へ曲がったら
虹のような形の窓の ....
歩道橋の上で つまらなそうに
黒い帽子の ミスター・クロウ
放課後の 車行き交う上で
舌打ちもせずに 空を睨んでる
そこはまだ低いんだね
高く飛べることを知っているから
・
....
■街灯の下■
ずっとそこにいたのですか
ずっと一人でいたのですか
私は何度
あなたを通り過ぎてきたのですか。
■氷■
私の中には氷があって
子供のころからずっと ....
限りの見えた 二人のそばに
新たな選択は見えていた
矜持よりも
恐怖に突き動かされた別れ
だからあんなにきれいな終わり方でも
後悔ばかりが湧き上がる
一人きり残されて
嘆いてばか ....
私の領域の中の
私の恋人という役割は
苦も無く他の誰かが務めるのでしょう
けれど私の領域の中に
あなたが消えたことで生まれた空白は
なんと埋まり得ないものでしょう
あの人でも
....
あなたに言葉を伝えたときのほとんどは
誤解を解きたかったり
僕のことをわかって欲しかったりしたときだった
今でも同じ理由であなたに話しかけたくなるときがある
もう今は
届かないけど
....