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ほら、聴こえるね
あの泉の谷から滲みだす
さまざまな色のことばたち
煌めきながらばらばらに
散っていった無数の肉体 その
かけらのなかを通過していく
衣擦れのような音が。
渇い ....
1.
己れ、にだけ
忠実であろうとした女の
左腕は今朝 彼等の海へと
絡みついたままもげ
その、断面からは黒く冷たい
叫びごえが鳴って
ロスタイムの合図とする
2.
....
今朝がた夏を刻み終えた男の全身を漂白してベランダに干したところだと云う
熟すことも腐ることもなく ただ 秋がくればカサカサと鳴るだろう
できることなら、血の匂いのしない図鑑をくれ 魚鱗 ....