すべてのおすすめ
亡びたもののあかるさが満ちる夏の庭
もう誰も時刻を読むことのない白い日時計
茂みに囲まれた小さな池
茂みをざわめかせていた風がやむと
あちこちの陰にひそんでいた気配たちが
(それが何の気 ....
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で
六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
....
隠された寝台で
黒衣をまとい 彼女は眠る
やがてその眠りに霧が立ち籠め
その中で 鬱蒼とした森林と
銀と透明にきらめく都市とが
ゆっくりと近づき
そして静かにまじり合う
....
心臓がわりに林檎を胸に嵌め
黒い帽子をかぶって初冬の街を歩いてゆく