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あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月の代わりに。ぼくらの夜はつややかな緑に照らされ、建物には鮮やかな縞模様の影ができる。アスファルトから植物が生えているようだった。自分がやさし ....
羽音だと思ってたら
薄布のカーテンをふるわせて
飛びたいよう、と
窓が
泣いていた
わたしがあんまり
窓の目で
空を見るから
ガラスの表情は
いつのまにか、曇って
月の形に ....
ふと声をかけてみた
その外国人は
「ロマンスカー?」
と言って
少し笑った
新宿駅西口で
そうなんですよ日本には
ロマンスカーがあるんです
ロマンスカーはみんなを乗せて
ロマンス ....
サハラ砂漠で夏眠中のカエルは
とてもつらい
遊牧民に掘り起こされ
厚い安らかな粘膜のシートを
乱暴にこじ開けられ
たっぷりと溜め込んだ皮膚の水分を
絞りとられるのだ
たいせつ ....
ゆっくりと走り始めた君は、交差点で急に後ろを振り返り
やっぱり私、生きようと思うの、と
その周りを、背中の汚い魚が眩しそうに君を見ていた
この世界は、君が住むには過酷過ぎた
君の手首から流 ....
まずは輪郭線を消すことから始めよう
となりの色にぐっと近寄って
どこまでが目で
どこまでが鼻で
どこまでが口か
わからなくなってきたら
どこまでが自分で
どこまでがあなたか
わ ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
ラブホテルに行きたいわ
クリスマスにどうしたいかって訊かれたら あたし多分そう答える
37階建てのホテルの最上階の夜景もそれはそれで良いのだけれど
君の瞳に乾杯するほど嘘なんかつい ....
手を合わせて下さい
いただきます
お前なあ
食べるの遅すぎやで
普通なあ
先輩より先に食べ初めて
先に食べ終わるもんやぞ
猫舌とか言うてもなあ
現場じゃあ
通用せえへんぞ
....
逢いたさは
距離に比例する
忙しさの倍数である
ひとりの夜には
二乗される
愛情という
未知の定数を持つ
この方程式を解きなさい
飛行機も
新幹線も使わずに
....
幸せが
こっそり中に
かくれてなぁい?
いつだって
紅い窓のぞけば
私しかうつらない
さぁ 白状なさい
こっそり中に
かくれてなぁい?
言わないと
かじっちゃうぞ
最後に会った夜
別れ話の途中でお腹を鳴らした君に
僕はどう対処すべきだったのだろう?
笑って「またやり直そうか。」
か、
無視するべきだったのか。
結局、僕は無視するほうを選び
....
金星に
咲く花が
一向に散る
気配を見せず
ちらり
ちらりと
倒錯する
2つ3つが
1つに重なり
その時
僕は
嘲笑を思い知った
アイスクリームが
抉り取られ
空いた隙 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
今日は本当にありがとう
おいしいお酒とおいしいごはん
でも、一番おいしかったのは
やっぱり、あなたのヨ・コ・ガ・オ!
何故か今は駅のコンビニ
ジュースで口をうるおして
あなたと一緒 ....
真夜中にちっちゃいうたを湯舟でうたうと
ゆげでぜんぶなくなってしまうから
今日はうたわなかった
半分になってしまったペディキュアは
女であることを忘れさせてはくれないのに
どうしてもう半分を ....
鳥獣店の前を通った
すきとおる鳥の声が
鋭い刃のように空をゆく
黒いアスファルトに金の粉が撒かれた
夕暮れ
私は子供に戻っていた
道の小石を蹴飛ばした
顔を上げると
夕日の逆光の中 ....
両手でそっと包んだ鳩が冷たく固くなっていくということ
小さな部屋でひとり眠る夢のこと
最後の言葉を告げるためにやってくる
自転車のこと
同じくらい愛し合っていると思える人と出会い
二人でしっ ....
ねえ
信じてるのは
わたしの気持ちだけなの
だから安心して
心配しないで
あなたの言うことなんか
はじめから信じていないから
いくらでも言っていいんだよ
わたしもたくさん言うね
心地 ....
もしも翼があったなら
鳥と間違われて鉄砲で撃たれるかもしれません
飛行機と間違われて
誰かが搭乗しようとするかもしれません
とり人間コンテストの会場はこちらですと
高台に案内 ....
あたしがベッドで寝ている
写真
を
あなたは一枚持っていた
白いショーツ
の
隙間から
こぼれてほしい
という
欲望
の
よだれ
....
神はいないと言う女
神はネタだと言う男
寒いなあ
ネタバレの空はどんよりと
....
曇り空を見上げて、かたつむり
ほかほかお布団の中で
外の世界を手や足で確かめながら、もぞもぞと
見えない触角を動かして誰もいないのを確認し
そっと曇り空を見上げて、かたつむり
雨嫌いな、 ....
武装グループよ
今すぐ人質を解放せよ
無益な殺生をするな
彼を殺しても誰も得することは無い
彼は要人でも賢人でも有名人でもない
彼を殺しても日本人はたいして
悲しまない
不注意なヤツだっ ....
ゆれているので
こっくり こっくり
あいずを おくった
しんぱいっていう わすれものを
とどけたり とどけられたり
いっしょに いない
きもちと きもちを つないでいくために
お ....
内から外へ
広がる気持ちの真ん中へ
水色のレンズをつけたまま
私は一人で立ち尽くす
うらうらとつもった心のチリを
動かせる事のない
非力な自分
描く放物線も心なしか弱く
そ ....
どうしても空を飛びたいらしいので
象が踏んでも割れない筆箱をあげると
「二郎さーん!」と言って地面に投げつけた
私は冷や汗をかきながら
「確かに弟ができたら二郎と名付けるつもりでした」
....
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