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猫は風で
犬は木で
僕は山だ
世界が喩え話なら
世界が喩え話じゃなかったら
猫はそれで
犬はあれで
僕はこれだ
いや、世界が喩え話じゃなかったら
猫はそれじゃなく
犬はあれ ....
寝起きは夜中でもまぶしく
かたちがある白桃
出れば開けた土地に霧
秋気は強烈な感情しかしわたしのではない
他人にも自分にも向かわなければ天に向く
朦朧さではない秋の意識の ....
曖昧な横顔秋の海
社会の腕力から逃れて逃れて秋めく
階下に運ぶ珈琲のように長い時間をこぼした
それぞれの孤独を持ち寄って孤独なままでいる
空が斜め渡り鳥
二人でいても一人きりの世界に秋澄む
匂いは最も原始的な感覚遠花火
足がなければもっと距離を大切にしていただろうか
逃げても逃げても戦場から遠く
秋の蝶冷たい水が染みる
中 ....
おさなごのような秋意のために出てあるく
飛ぶ虫は無機物秋の川は生き物
鳥威じぶんがむなしいならひともまたむなしい
{ルビ大人=たいじん}のような野霧
おりる光のぼる光とどまる光 ....