眠りに落ちる前に君のことを考えていた
この部屋を出ていってもう二度と戻ってこなかったもののことを
僕たちの窓の外にはいつでも夏の青い空があって
そこには輪郭の濃い白い雲がただ浮かんでいた
君は ....
わたしたちは
ときおり修復のために
巡礼のような旅に出る
みちみち
ゆるやかに回復するからだ

からだの奥に
水も声もたましいも
灯らない場所がある

樹脂の血
樹脂の精 ....
仕事を終えて
アパートの玄関を開ける
先日
酔いすぎてもどした
消化途中の言葉尻が
まだ
黒ずんだ上がり框に
飛び散っている

向かいの棟の方から
チリチリと音がする
数日前か ....
雑なままでも書き残して思う。

詩を書き始めたのは2001年ごろだったかもしれない。
詩のサイトは最初に流れ着いた日本WEB詩人会。
そこで会員になって投稿していた。いいとこだった。
今書き ....
夏の日の夕暮れ
いつまでも続け
つないだ手のぬくもりほどの
せつなさを抱えて

メビウスのまんなかに
つかのま立ち止まり
見つめ合った、ぼくら
いまよりもずっと
不器用で、素直だった ....
ここに眠る

笹舟

水のように

再会

斎のあとで

奥座敷

五月闇

なんこつ忌

探幽記

賽の原



りゅうぐうのつかい

料理
 ....
 詩を読みたい。それはどのような心の状態だろう。詩人はきっと詩を読みたがってはいない。ひどい言い方かもしれないし、根拠はない。間違いかもしれない。詩人が何を読みたがっているのか、私がそれに興味がないだ .... わたしはまだ生まれていない

さるすべりの上を
からすが何機も飛んでいた
わたしはわたしの屋根を吹き飛ばすものを
そしてそれがやがて生まれくる箱の首を
絞めたのです
そっと
やわらかな ....
百年が 終わり
つめたい百年が来た
つめたい百年が終わると
もっとつめたい百年が来た
もっとつめたい百年が終わると
もっともっとつめたい百年が来て
もっともっとつめたい百年が終わると
 ....
私は小さくありません
ですが
大きな海でもありません
私は目的です

太陽が家のシーケンスから
顔を取り出す場合は
光をあびてください
光に言及してください

割れ目チップ
およ ....
「い、一生分はあるぞ?」



「あの子ったらはりきってるみたいね。」
お母さんが笑いながら言うと、お父さんもしんぶんを
読みながらしきりに『い、一生分はあるぞ?』うなず
きます。
「 ....
明け方、10人目の被害者が見付かった。
大雪で逃げ場のないホテルで、人々は各々の恐怖と
寒さに震えながら戦っていた。
10人目の被害者の名前は、坂上圭子。
ホテルにスキー合宿で来ていた女子大生 ....
ピップは空の絵しか描かない画家だ。
静物を並べられても、肖像画を頼まれても、裁判所のスケッチを
頼まれてもピップが描くのはいつも空の絵だった。
そのためピップの絵はなかなか売れず、きわめて貧しい ....
かなしいときに
ねぎを刻む

そういう物語があったけれど
わたしはじぶんがじゅうぶん青くさい
ことにへきえきしているから
ことさらに平気な顔して大根を刻む
まっしろな朝、まっしろな腕 ....
 
イッチャは鳥の啼き声をあてるのが上手だった。あれはコサメビタキ、あれはヤブサメ・・・。わたしはそれがどんな鳥なのか知らないままに、イッチャの背中に向かってあやふやな相づちを打つのだった。そして、 ....
会う人誰彼かまわず「一青窈キック!」と言いながら
蹴ることで有名な一青窈。
ある日隣人を蹴ろうとしたら、かわされたばかりか
「一青窈キック!」と言いながら蹴られてしまう。
「お前が一青窈キック ....
プログラム一番
国家・校歌斉唱
尚、時間短縮のため赤組・白組応援歌も同時合奏とさせて頂きます。
保護者の皆様もご起立下さい。

 
 君が代は流れて尽きぬ赤組ゴーゴーゴー!
 千代に八千 ....
閉じたまぶたの裏側
流行のカフェ
野球場
交差点
カーテンを開けて見た窓枠の景色
ピースサインの谷間

病院の待合室
えこなはいつも、私を待ち伏せるかの様にそこにいた

えこなはそ ....
僕の考えた妖怪
妖怪助けてー

肩から上しかない妖怪。
浅瀬で助けを求める。肩から上しか見えないので、川が深いと思って
助けに飛び込んだ人が顔面を強打して死ぬとその肉をむさぼる。
善意に ....
だらしないイカ





 春の日曜の昼間、あまりに暇だったので自転車に乗って出かけた。家から続くゆるい下り坂のカーブを車輪の転がるままに任せて下る。晴れていて、潮っぽい風があたたかく髪を ....
「アデリー」



アデリーペンギンの群れが
ぼくめがけて押し寄せてくる
100…200、数え切れない大群だ
どこまでもまっしろな大地を
ある者はてくてく一生懸命に
ある者は腹ばいに ....
あなたの
書いたもの

読みたい

なんでもいいから

淋しくならないように
たくさん たくさん
書いて書いて
そしたら

わたし
白ヤギさんのように
おいしく
食べる ....
女にふられたけれど、
もうすべて失いついでに失っても、
恥をしのんで生きようと思った。
だから友よ。
きみも死ぬな。
俺はもう歌わない。
もううたううたはない。
夏は終わった。
三年前 ....
ジョニーがジョニーになった日は
風の強い日だったという


ジョニー
本名は青木勲
親父さんは右翼でアル中だった
よく夜中に日の丸をふってわめきちらしていたという
お袋さんは幼馴染の女 ....
女にふられたので、
ナイアガラへ行って死のうと思った。
三連休の初日の朝から、ビールを飲んで、
失敗した。
急にドライブに行きたくなったのだ。
もう遅い。
そうゆうものだ。
訳知り顔の大 ....
それは
川辺のスミレのように
ひそやかな願いなのだけど
じつは
俺は
もてたい
じつに
俺は
もてたい

ないしょの望みなのだけど
可憐な希望なのだけど
ただいちどきで
かま ....
マリンちゃんに告白した


好きだ

俺は
きみより
ずっと年上で
まるでもてないし
甲斐性はないし
かっこよくもないし
男らしくもないし
お金持ちでもない
だけど

き ....
もてない男が集まって
深夜のファミレスで話した
しみじみとふかぶかと話し込んだ
夜も更けて
やっぱりぼくらはもてないままだった

『もてないことのかなしみは
近代的な発明にすぎない』
 ....
シェリル
まぶしいな、区切られない場所は


名前を持つのかどうかも知らないような虫が
指先をつたってきて
それはぼくになにも響かなかったから
そっとしておいた



シ ....
女にふられたので、
向かいのビルへ行って死のうと思った。
なんどか、もう忘れた!とか、
俺は立ち直った!とか、
あんな女なんて!とか、
吹っ切ってみせたけれど、
だめだった。
きのうあの ....
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