もてたい
しゃしゃり

それは
川辺のスミレのように
ひそやかな願いなのだけど
じつは
俺は
もてたい
じつに
俺は
もてたい

ないしょの望みなのだけど
可憐な希望なのだけど
ただいちどきで
かまわないのだけど
俺は
もてたい
もういちど言う
俺は
もてたい

死ぬほど可愛い女の子が
たとえば
俺を見て
ふっと
目を伏せるの
そして
赤くなるの
俺は
罪な男さ
気づかぬふりで
そっと
傘をさしかける
雨だ
俺は
ああ
もてたい
俺は
ああ

コンビニで
女の子の店員に
おつりを
渡されるとき
手に
触らないように
落とされる

ああ
俺は
もてたい
もてたいんだよ
しみじみと
そう思う
おつりはいらない
十円のキャンディに
一万円払ってもかまわない

それは
冬のいちばんぼしのように
消えゆきそうな願いなのだけど







自由詩 もてたい Copyright しゃしゃり 2007-01-29 18:57:10
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