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神宮前の小橋で懐かしのフォークソング唄う人
懐かしの?
わたしは懐かしのを知らない
知らない懐かしを知ったふりして心縮めていたの
右肩横をかすめて通りすぎた黒服男はも ....
床に置かれた柱時計を
笑っておられるのですね
もっともなお話でございます
天板の埃がくすぐるのでしょう
お心のイタイトコロヲ
少しも異論はありません ....
裏から表までの30メートルに世界があった
国道1号線を命かけて 一目散に横切るのだ
安楽の幅2メートルは ユートピアへの出入り口
たった20センチメートル背中の側をかすめ ....
海に裏切られ 花に批難されたら
枯葉にも笑われる生き様
ヒューっと 大きく豪勢な車が
目の前を風のごとくに走り過ぎようとするよ
ハンドルにしがみついた女の人
なぜ ....
広すぎる狭い部屋の中ほどで
行方不明の娘と将来を語り合えば
音信不通の息子と向かい合って
パスタを食べるから
見切りをつけたアノ人と
リンネと言うレト ....
ふと
ショウウィンドウに映った薄ぼやけた自分の姿に
人生 楽しい?
楽しかった?
これから楽しくなりそう?
現在過去未来
わかりっこないって そん ....
口溶けしないチョコレートが
不思議だ
口から 5ミリ四方の
サイコロ状を
舌で押し出すように手のひらに
転がしてみる
やはりチョコレート色のチョコ ....
雪解けの時を待った
土を食べたくて
小さなシャベル片手に
まっすぐ真白い粉塊の一点めがけ
(吸い込まれる)
くらいに感じてくれたらいいな
そんな気持ちの柔らかさで
....
川沿いの道を歩いていると
川面で魚の跳ねる音
気のせいだった
子供が投げた
いたずらな小石
空を舞う鳥が嘴から
落としてしまった
子に与えるはずの ....
鳥はなぜ逃げない
足下に 跳ね回る
逃げないが 近寄らない
近寄らないのに 逃げもしない
小さな雀
鳥は なぜ逃げる
逃げるのに また舞 ....
黒い服についた 絵の具の白色
それは汚れでしょ
心を真っ白にして 無になって……
ムラサキ色の心が 決して
虫に食われた イチョウの葉であっては
ならないなんてね
....
もしもツバサがあったなら
あなたのところへ
飛んで行けるのに
もしもツバサがあったなら
あなたのところへは
飛んで行かない
背中にツバサを背負った姿で
....