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朽ちた葉を踏むと
乾いた音がする

傍らに歩くむすこが
聞いて、と
教えてくれる

朽ちた葉を踏むと
風の音がする

今まで気にしなかっただけの
あまりに満ちあふれた
音がする ....
つながれた指の
無言の理由を探りあって

にじむ光の
遠くを見つめるふりをして

みずからの域を出ない
ふたつの熱帯魚



あれは雨の日だった

つたない呼 ....
うつくしく帰れ、と
はかない願いを込めた
ささやかな窓辺は
永遠に失われない

ただし、代償はある

例えばそれは
老いる瞳

例えばそれは
老いる瞳の中の
いつわらざる面 ....
聞き耳を立てていた

厳しい言葉の迫る気配に
責める言葉の
迫る気配に

聞き耳を立てて
いた



口裏を合わせていた

障りのない言葉をえらび取り
結論付けない ....
もう
あの船の行方なら
わたしの胸に描かれるしかありません

その
描きようの総てが許されるわけではなくて
それでも
描いていくしかなくて
ひとり
色をもたない潮風に
抱かれて ....
幾重にも
連なってゆく
痛みの無言に慣れてしまう
その痛み

それは
誰にも明かせないから
誰もがみんな
重たく齢を
重ねる


褒美のような光の背には
忘れられ過ぎた美 ....
きっと
模倣にすぎない涙です


人づてに
色づけされる涙です


やがては
無かったことになる
涙です


空へと昇り
空から下りなおす
涙です


だれ ....
かなしみは
凍てついたりしないから
いつまで経っても
わたしは
楽になれずに
ひどく体温をうばわれる


硬いものなら
落としてしまえば終わりにできる

手から放して
決別 ....
手毬とよく似た
日輪の影

不浄を仰ぐやわらかな羽

いつか、どこか、で
お会いしましたか

生まれたばかりの蓄音機
鏡のなかに
とおく落ちていった
ひとつ
ひとつの
香りのあわれさは
なりゆきを待っている

いくつもの
抜け道にあざむかれてしまう
わずかなすき間にひそむ
その
夜の筋書 ....
火が
ほしかったから、

そっと
恥じらいをまぜて

お月さまに
耳打ちしました
そっと


まるで
玩具のような運命の
わたしです

あわい
夜の吐息にさえ
消 ....
白いひかりの内側で
やさしくもつれ合うものを
聴いていたかったのに
ただ、聴いていたかったのに

生きていてもいいですか、と問うよりも
生きていなくてはいけませんか、と問うほうが
 ....
あとは
お任せいたします、

上手にもたれて
サボりましょ



問うも問わぬも自由なら
いずれも選ばぬ
すべもある



お口の悪いひとがいて
腰の重たいひとが ....
よく視ていなさい
憎しみを

あれは
にわかに
輪をなします

よく視ていなさい
憎しみの輪を
外れた者が
行く先を

そこに
あなたはいましたか
それとも綺麗な
 ....
銀河のほとりの
ちいさな一途


ひとつ
ふたつ、と
確かめあうのは

些細なことに
すがるぬくもり



もう、
離ればなれには
なれないや

っていう告白は ....
きみの涙は
あたたかかったから、

時間はけっして
冷たくなんか
ないね


願いも祈りも
こわれもの

そうでなければ
未来のすべては意味をうしなう


昨日も ....
さくらの歌が
眠りにつくころ
駅がわたしを呼びにくる

路線図上の
きれいな文字は
すっかり古く、穏やかで
長く対峙することが
むずかしい


線路脇には
意味のあるものた ....
蜃気楼、と名のつく国へ
ゆびさきに力を込めて
風をおくる

かろやかに静止する
すべてのリズムは雨に流れて
つい、空を見上げる

何もないということが
両手のうえに確かにあっ ....
ため息を
つきたいがための
ため息に、くもる窓

渦巻く言葉の上辺には
夢を、
夢らしいものを、
夢と呼んで安らぐものを
もとめた日々が
静寂している



ゼロにも満た ....
言葉は
わたしに降りてこない

わたしを選んで
降りたりしない

だから
わたしは
降りしきる

言葉がわたしを拒んでも
言葉がわたしを拭っても

一途な
まよいに
 ....
あながち
間違いでもなさそうな
傾斜みち

おおきく
眼を閉じたまま
ひとつ、ひとつ、を
よく噛み砕いたら

背中に負うのは
真っ赤な約束
瓜二つ、
みたい


 ....
見えないものに
なりたいな

癒えないものに
なりたいな


光らぬものに
なるもよし

至らぬものに
なるもよし


切れないものに
なれるかな

消えないもの ....
逆手にとられて
すまし顔

ちいさな指さき
ふんわり
帽子

空のふしぎは
まつげに揺れて

きらら、と
さよなら

あしたの
吐息

せせらぎの


 ....
こわれる為に
交わした約束が
あるとするならば

それは
しずかに
花の名のなかに
忍ばせておきましょう



生きものはみな
根を持ちます

水を吸い上げて
空にこ ....
打ち上げられた
鯨みたいに

疑問符は
すべもなく
空の青さを映しだしている



怒号も慟哭も、祝福も
みな同じ音ならば

この
広い世界に満ちるものは
みな同じ水だ ....
風を
えらべるはずもなく

帆船は
風にはこばれて

船乗りの
陽気なうたや哀しみが
だれにもえらべぬ
風となる

帆船をはこぶ
風となる
今夜の雨は
いつもより遠い
気がしたのです

たぶん
わたしが降って
いたのでしょう

だれにも
干渉されまいと
狭いわたしが
いたのでしょう

他人はそれを
ときどき ....
わたしの指が
風にふれる、と
ふたたびページが
繰られます

偶然に
呼び起こされるまで
目ざめることの
なかった物語
でも、

待つことを
つづけてくれた
約束たち ....
星明かりの駅が
ひとつずつ滲んでゆく

瞳は
乾いてなどいない
まったく逆だ

夜から
いちばん遠いところが
すべてを飲み込み
夜を生むための
夜になる

そこに
ある ....
てのひらに
乗らずじまいの鳥でした

だから
わたしを探すなら
むこうの風の
枝あたり

落ちるともなく
揺られ続ける
木の葉の
ような

ささやかに
確信めいた一枚の ....
橘あまねさんの千波 一也さんおすすめリスト(57)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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