伝書鳩
千波 一也
うつくしく帰れ、と
はかない願いを込めた
ささやかな窓辺は
永遠に失われない
ただし、代償はある
例えばそれは
老いる瞳
例えばそれは
老いる瞳の中の
いつわらざる面影
例えばそれは
老いる瞳の外にしか
生まれられない温度たち
信じた末の迷いの空を
一直線に雲がゆく
だれにも
剥ぎ取れない
剥ぎ取るべきではない
やわらかな羽が
永続の輪を
なぞり
ゆく
自由詩
伝書鳩
Copyright
千波 一也
2014-01-31 07:54:14
縦