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じっと見つめる白いディスプレイ
画面の深淵に広がる混沌
ぼんやりとした影がふるえているのだが
コーヒーを一口 指先で机を叩き
たばこを一本 目を閉じ頭に爪を立て
五分 十分・・・
一瞬 ....
{引用=
しろやぎさんからおてがみついた
くろやぎさんたらよまずにたべた
}
::
不穏な空気に包まれた景色を見ていた
不安があちこちに転がっている
ひとつの石の周 ....
高い山の上にある洞窟の中
さかさまに本を開いて
愛しいあの子の為に記号を探す
手紙を綴るために
相応しい記号を贈りたいのに
不味くて吐き出してしまったり
美味しくて食べ過ぎてしまったり ....
流れ出た量と同じだけの血が
体の中で作られる
それが生きているということだと
悟った日から
私はいつでも全身から血を流し続ける
生きものとなりました
私の体で血を流さないところは
背 ....
膝の上の猫
まるで愛おしい生き物でも見るような目で
わたしを見てにゃーと鳴くの
通り雨降る、夏の午後
その視線を
すり寄ってくる体温を
振り払いたくてそっぽを向いた
うっとう ....
その人には顔がなかった
ゆっくりと動く喉仏
見なくても分かる 嗤っている
高い位置から嗤っている
私の苦手な目をして
私の苦手な言葉を紡いでいる
その人には顔がなかった
....
うつむけば、
いびつな砂利道。
ぼくは陽を背負う
ぼくは染みてゆく影
見あげれば、
ゆらめく電線。
ぼくは見つめる
ぼくは透明なひとみ ....
僕のキボウたちよ
そんなに僕の周りを飛び交うな
僕には影が付き添っているのだ
君らの素敵な舞いに
僕は同調することができない
僕の小さなキボウたちよ
そんなにはしゃいでいるな
君 ....
底ふかい
ながれる霧の
亡失のよあけに
サインのかげりがうかびあがると
ゑづは
狂いはじめ
つよくあしでまといの舌苔
怪訝と
したたりで
烏合を吐きだすつぶてに
そまる
....
だれのものでもない
できた橋を
わたる
生き物には足があるようだ
二本あればわたれるようだ
いままでどおりなら
唄い酒場のような居場所があり
(どこか)わたってきたところ ....
110211
逆上がり
冷たい夏の
夾竹桃
今日は雪だ!
子供たちは喜んでいる
大人達は渋い顔
老人どもは諦めて
猫の炬燵を用意する
第2国道 ....
暖房もなく、寒いよるには、
ちいさくなって毛布にくるまるのです
毛布はやさしいです
朝の梵鐘の音が聞こえると
お腹も空いてくるのです
やさしい毛布から脱け出して
ずうずうしいエアコンのセカ ....
ふっと
水気を含んだ本の両脇
不穏がととのい
遡上がはじまる
奥の詩から女がたちのぼる
ひるがえり
紙面にむんずと顔を押しつけ
ことばのインクの溜め池は
頭頂に浮かぶ
巌流島から ....
咽がカラカラよ
潤う体とあがる呼吸に
甘く香る枕が湿ってく
ください、くださいと
髪が揺れる
笑う貴方に
私はそっと泣く
震える携帯電話
一瞬目線を向けただけ
無 ....
眼差しの消失点へと駆けていく
中身のない信仰を抱えた踊る胸
爪先に跳ね上がる泥も
大地に繋ぎとめられない楔
芥にも成れない
逆さまに回る壊れた時計の
文字盤に白と黒の鉱石を並べて
連 ....
若かったころひとりで
たいていひとりで
ひとりはひまなので
余計なことばかり気になって
寝転んで涙
耳に入ったまま起き上がって
肌がきれいな
童顔男子にひとめぼれ
それから
....
いろいろ伝えたいのに
この言葉しか書けない
それが悲しくて泣いた
体の感覚が損なわれていく。
チョークが落ちる瞬間の、
落ちて砕けたそこで 白い粉が
床の上で印になる。
教室の誰かが蹴りつけた
床や壁と同じになった私が
かすかに揺れつつも
プリ ....
{引用=
消えそうに震える
ほっそりとちいさな肩
けだかさは
すべて死に絶えたのだと言う
おまえに似合う花がないこと
知っていて
それでも探し続ける
青ざめたねがいを
包み込む
....
忘れられず脳の底に溜る
の声
の指
の頬
の髪
の癖
の仕草
の香り
の夢
無意識に象った
が消えずに
何時までも 何時までも
忘れられず ....
101014
払暁を
黒を払いのける
オーボエの音
木曜日の音が鳴る
木曜日は木管
金曜日は金管
冗談のような和音が
静かに
豊かに
散文を認めるよ ....
息が しづらい
シンゾウ が 這いあがる (さみし い)
すって はいて
はいて すって
しびれる 手のひらで
のどをつかむ (ど きどき) 脈うつひふ
す ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
{引用=
雨が降っているの
こころの奥深くで
あの夜のような朝からずっと
それでも空は晴れているから
傘もさせずにびしょ濡れのまま
けれどあなには見えない
魔法のような
私を支 ....
誘われ惑わされ
見た事がない月のすぐ手前まで
紫色した薄い衣だけを羽織ったあなた
外は雲一つない夜空なのに
滴り落ちているのがよく分かる
失う物が出来てしまい
変わっていく時間が恐 ....
{引用=
他愛もない笑い話をして
おどけた返事をする
きみは
僕のことを
僕よりも詳しくて
その華奢な肩に
少しの間
体重を預けたくなったり
する時がある
でも僕が
そん ....
なめらかな線に少しだけ空いた
そのへこみを
埋め合わせの私が入り込む
なんて居心地が良いのだろうと思っていたが
埋め合わせは考えた
もうちょっと居場所を広げられないかな? ....
葉に翳る白桃の
香に透き通る憂い
青く伸びやかに
移ろう若き眼よ
白墨の粉に指を染め
唇は今日も弛緩する
午睡の夢に残り
紙の切れ端に
忘れんとする戸惑い
まだ熟れぬ実よ ....
たとえば僕が死んだら
「これで世界はほんの少しだけ平和になった」
とつぶやいて
盛大ではないけどささやかでもないパーティを
みんなで祝ってくれないか
たとえば僕が死んだ ....