たとえあなたが農夫でも農夫でなくてもあなたが文章家でも文章家でなくてもあなたが小鳥でも熊でも蛇でもあなたが空でもあなたが風でもあなたが土でもあなたを好きわたしはずっとあなたのそばにいるあなたとキスを ....
この街はひとつの詩篇しずやかに置手紙のような息を吐くひと
光さす野をひたすらにゆくがいい、君、セルリアンブルーの尾びれ
湯豆腐を崩さぬようにくずしつつ星の底までゆきたいと言う
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たくさんの知らない人々と同じ電車に乗る。電車横転せず終点。降車し階段を下りる、42段降り左折のち道路を横断する。夏が四十五度に傾いて立っている。わたしにはわかる。人々は気付かないふりをしている。気付か ....
俺たちはもうそんなに遠くへは行くことができない
俺たちにはもうそんなに力が残ってはいないし
それにもうじゅうぶん遠くまで来てしまったから
石段を降りた水面の高さから
今度は二段昇った水の上 ....
電車をおりると
白線をはみ出した蟻たちの
行列、空をわすれた足どり、で
わたしたちは歩いてゆく上へ
憑かれたように(上へ、
空のない方の上へ、)そして、
さようならと手を振ります、(耐える ....
君の用事を手伝って古い港に僕はゆく
頭上は悲惨な曇り空、八時というのに薄闇で
足下転がる野良の子猫は適度に餌を期待する
「午後には雨が降るらしいからなるべく早いうちがいい」
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