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ひさかたぶりに日を浴びた
しわがれた藁半紙の香り
言葉が輪郭を失いそうだ
雨音が遠くに延びる
鏡を見ていると危うくなる
手のひらで骨格に触れてみる
わたしはこの形状で
外縁で保たれて ....
めーだいまー
めーだいまー
電車で子どもが叫んでいた
駅名が踊り出す
乗客に笑みがこぼれる
明大前
よりなんかいい
猫轢いちゃったんです
先月あたま
駐車場から出てきた車をよけようとしたとき
草むらから飛び出してきたんですよ急に
轢いちゃったんですおれ
一瞬のことでどうしようもなかった
二輪で猫を轢 ....
眠れない夜にはふらり
外に出てあてなく歩く
優しくて淋しげな
秋の夜の風の涼しさ
虫の音が
まあいいじゃん
と囁いているようだ
ふと目を閉じて
....
夏に焼かれた街を労わる雨音
一粒一粒、世界に触れ、砕け
私の胸を静けさに連れていく
夜、ひとり聞き入るこの音に
なにもかも許された気がする
改札
を過ぎると薄暗い穴に吸い込まれる
二秒又は三秒
そして薄紅の膜に包まれ
僕は精神の一部を失って
吐き出され
通勤の群れに侵食され
溶け入る
ああい ....
巻き髪から星がこぼれ落ちた
すれ違い、振り返り、立ち止まる人
路上に触れては跳ね、また落ちる
光の粒が飛び散って舞い上がる
地と中空に
広がって、広がって、
広がる ....
おはよう
おはよ
オルゴール壊れた
あの音色は二度と戻らない
今日、何すんの
何もしないの
だって暑いんだもん
真夏の海岸を少年が駆けてく
アクセルを踏 ....
奈緒の部屋のキッチンに
小窓から差し込む西日を受けて
ぼくに向かって微笑みかける
小型の洒落たミキサーが直立していて
到頭奈緒を奪いに来たのね。とつぶやいた
彼 ....