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わたしがあなたの下着を干しているあいだ
あなたはわたしのために歌をうたっている
わたしがにんにくの皮を剥いているあいだ
あなたは二人分のコーヒーを落としている
わたしが玄関のタイル ....
押しだされる
水はつめたい
書物は
ため息のようにぶ厚い
きみのまぶたは
蝶の羽のようなかすかな運動をつづけている
空気は遠くなりすぎた
青はためらい
黄色は純情
うす紫 ....
背を向けて眠る
あなたのかたちを
なぞるかたちで
空洞が訪れ
わたしのかわりに
あなたを奪っていく
シーツの重みを
じっ
とみていると
だんだんと
時間が失われていくのがわ ....
しかくい箱のなかに
丸と三角を
ひとつずついれる
それをどうするんだい
と聞くと
どうもしないの
と答える
どうもしないの
と
答えて
かなしそうにしている
望むと、かなしい気持ちになってしまう。なぜだろう。薄っぺらい胸を、うさぎがつきぬけていった。龍のかたちにはりさけていた。
わらうには、虚勢を張るしかないのだ。
ずいぶん遠くまで来た。でも、 ....
あたしばかだから
と言って
わらっていた
女の子
あたしばかだから
と言っても
泣きはしなかった
あたしばかだから
いっぱい考えるの
と言って
わらっていた
水たまり ....
空が遠いと泣くひと
水たまりをあげるよ
すきな分だけ閉じこめておいで
泣いたあとで
わらう頬にさす風柔らかく
これ以上なにがいるだろう
それでも
手をのばすと
そらはゆれて ....
あなたを知り
死は
いまや
命と
手をつないで
月みたいに
あかるさを
教える
死は
いまや
命のように
命は死のように
ひとつの岸辺に
(互 ....
冬瓜を煮る。すこし青臭い匂いが指に残っている。
夕方、ディスカウントショップへ行ってハロウィンの玩具をいくつか買って、夫と落ち合って帰ってきた。途中、tooth tooth へ寄ってケーキを二つ ....
高いところから
こぼれた水が
だんだんとぬくもりながら
流れおちていく
その
さいごのひとつぶが
目がしらに発見される
水は
いつもさみしがるから
海と
出会わなくちゃ
....
ちか頃では
傷ついたほうが
えらいので
みんなずたずた
わたしは
Tシャツに
「まんこ野郎」
と
プリントして
まちをあるく
あなたが
あんまりにも
潔く笑うので
わたしの胸に
轍ができた
そうしてそのうち
深い森になった
ながい柵があり
(たとえばそれは
夜だったり朝だったり
場所だったり人だったり
あるいは思想だったりするけれども)
ともかくながい柵があり
内側というのは
どちらですか
檻 ....
靴はかるくて
空は青色
人もまばらな
枯れた海辺で
飴玉がわりの太陽を
半分こして舐めながら
横切る不幸を指差して
かなしい色を
指にともして
柔らかい絵を
ふたりで描 ....
酩酊する鳥、踊り狂う爪、剥がした謝罪と月明かりの弓、オレンジ色のケースとそこに収まるグラス、腕まくりした腕の傷、傷跡に群がる蟻たちと、すっぱい緑色、ひざまずく、俺はひざまずく、すべての信仰と薄まっ ....
かなしみに
一番ちかい子はだれですか、
と
神様が聞いたら
だれも手をあげなかった
神様は
ため息をついて
ごほうびをあげるよ
と、
うしろを向いた
そのとたん、
....
海辺に立つきみを
寝転がってみあげると
そこには
そらを背負ってるきみがいる
温い泥に飲まれるような
平穏な日々だ
空はいよいよ青く
次の季節へ広がっている
生まれながらに海にして
私は誰も待っていない
浮かべて揺れる大きさを
舟も陸もが優しさと
讃えはするけど繋がれず
生まれながらに陸にして
私は誰にも出会えない
在り続けるこの風体 ....
時間がわたしを撫でたので
わたしはおとなになった
なにかをきめるたびに
時間がわたしを撫でたので
でも
なぜだろう
男の手が撫でると
すこし
子どもに戻る
もつれあう六度八分をもてあまし 外を見遣ればふりつもる雪
かえり道
ひる間の道路で
失神した
ことばを
ていねいに
編みすぎて
くちは
どこかに
縫い込まれてしまった
おい、猫
わたしたちは
やさしさが
足りなかったな
....
くち元におだやかな笑み 午前2時 夢をみながら 夢みせるひと
体温のうら側を抱き合うふたり せまい寝床は寝息で縺れて
ぶどうの実みたいにていねいにしてね 薄い皮膚のしたは滲んで
ためらいを波打ちぎわでうけとめて こぼれる前に飲み干す二人
えりあしに新しい香をしのばせて 季節のように抱き合う初秋
組んだ手を解いては笑いまた組んで ほろりと落ちる金木犀
よこむきになって
泣いていたら
右目のなみだが
左目にはいって
はんぶん魚で
おぼれていました
あらがわなければ、
と
おもったときには
もうあらがえない
うしないたくない、
と
おもったときには
もううしなってる
こどものころに
走っていて転ぶとき
ああ転ぶな、 ....
なぜかはわからないけれど、世界はとおくにある。
朝顔の花でつくるいろ水や、
海辺でひろう角のとれたガラス、
いいにおいのする果物の皮
そういう、心地よくて意味のないものになりたかっ ....
64分音符にのせてジョイントをつくってるあなた、赤いマールボロの箱をさかさむけにして、フィルムは大切だから取っとくのよねと言っているあいだに、鏡にカッターで細ーいせんを引く彼女、彼女昔ながらの ....
あー あっついから
ざぶんと かおをだした
ひふを
うちのナナみたいに
ぬぎすてられたら
いいのにー
ナナは
かしこくて
おおきないぬだけど
ドーナッツが
たべられな ....
みず玉の瓶のむこうの夕立と 風をとおした君の目元と
君は右僕は左を濡らしつつ ちいさな傘をでようとはせず
ためいきを午睡の風に結び付け生温いまま季節交わる
水溜りにかがんだ君のう ....
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