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新学期一日目にさっそく実力テストとかいうのがあった
夏休みも終わりかけのころともだちからいっしょに勉強しないかと誘われた

そいつの家は古びてはいたけれどお金持ちの匂いがぷんぷんとしていた
床 ....
ここはぼくのいる場所じゃない
だから余計真剣に事に当たる

じぶんの何かは分からないけれど
その何かをひきちぎるようにして
しぼりだすようにして事に当たる

そうやって最初っから存在して ....
紙きれはいつも晴れていた

うすもやの水色の空だった

ぼくの死はひとをすこし忙しくさせた

木々はぼくがいたときよりも

はるかにいとしい世界観だった

公園のパノラマにひと影は ....
会社をはやくきりあげて

いえに帰るわけでもなく

愛人に会いに行くわけでもなく

渋滞にわざとまきこまれにゆく

おとこのファドを聴きながら

いとなみにせつなくなっていたかった ....
おれはくるしみたい
おれはおまえでくるしみたい
たとえば八月の朝
池をながめるベンチのよこで
たとえば熱い夜道
家までつづく短い坂のうえで
たとえばオクラを
並べた皿のマヨネーズの横で
 ....
きょうは雨曇りで涼しくてからだが楽だった
オフィスの窓に雨粒のしぶきが散らばっていた
ふがいない部下を怒りながらじぶんをダメ上司だと思った

なにこいつに、オレの自尊心傷つけられてんだよ、
 ....
人妻にストーカーまがいのことをしたことがある

あの熱情がもうない

それがじしんの成長なのか

それとも退化なのかわからない

さびしいような気もするし

胸を撫でおろしたくもな ....
わたしにはみずこがいる
それにいつからか名前までつけている
ときどきゆめにそのこがあらわれる
ベランダでげんきよくはねてあそんでいる
あぶないからと注意しても
わたしをなめているのだろう
 ....
はやく留守電になれよ

追いすがるような絵になってしまうじゃないか

用件さえとどけばいいんだよ

夜のカラスがちぎれて言った

留守電までの時間6秒ぐらいにしろよ
カワバタとこんなにながく歩いた
ふたりともなにもしゃべらなかった
最愛ってなんだと思った

仕事がらカワバタはホテルに顔がきくようだった
いつも車に乗り込んでから食事かホテルでゆっくりした
 ....
ゴールデンウイークはパチンコ三昧にした
お盆をとらない代わりに休みをすべて貰えた
市内のホテルにユキオと合宿をはりそこから毎日パチンコを打ちにいった

ちいさなころ町じゅうのパチンコ屋にお母さ ....
ジョギングする人とすれ違った
ネクタイをゆるめた長身の男の腕をつかみ
バランスをとりながら女が自転車をこいでいた
こんな夜中にこんなところを男女で歩いているとは
ふたりはどれだけ寂しかったのだ ....
この悲しみはひとにやさしくなれる

いちど別れた女となんねんかぶりに会った

肌をふれあわせる以外のことを夜通しした

この女は最愛だったが

ふたりで制度のなかにくるまれることはなか ....
ユキオからのポカンとしたメールに返信しながら発光するコンビニを通りすぎた
カワバタからはさいきん連絡がない
じぶんが返信しなくなったからだろう
カワバタと別れるといつも、ヨシミはじぶんが空虚にな ....
森に潜む全体は僕を包んで忙しく腐っていった

肉と霊の総和が世界なのだと全体は言った

霊とは見えないものだから名前をもつ肉しか目のまえにはなかった

それがいくら哀しいこととて文字が喚起 ....
この道を通るとぼくはいっぽんのペニスになるようだった

あなたにペニスを入れてゆくとき陥る懐かしさ

ひんやりとうるさいこの道を

肉の温もりと快楽のため息にたとえるとは

ぼくはいったいどういう淋し ....
クサマヤヨイの絵が好きだ

とくにカボチャのが好きだ

死班のようにも

病んだ精神の血痕のようにも

見える

クサマヤヨイの水玉が

クサマヤヨイのドットが

カボチャのかたちをして居心地よく座っ ....
街路樹の葉はひらべったくなっていた
この街にはもう新緑はなかった
木々や草が精子のような匂いを送り出していた

女が買い物にいくのを女の部屋で留守番した
低層階だから木々の先端がガラス戸ごし ....
それらをぼくは追いやって新しく息をしよう

それらをぼくは追いやって古くからの息をしよう

新しくて古いぼくは息をしよう


東大阪の公園で中国人のこどもたちが日本人のこどもたちを追いや ....
わしづかみするような五月のひかり
なだらかな緑のモザイク
呆然と見つめるいがい
ほかにどんな対処があっただろう

見つめかえしてくる
こんなところにいるんだ
ひかりが静かな
ざわついて ....
藤の花ぶさが

紫の光を垂らしている

ささない蜂が

黒い尻を浮かせている


遠目に見ていた

奇跡のような幸福に

実は包まれていることを知ったのは

こんな日のことだ


藤の花ぶさが

紫の ....
危険を知らせる音ではなかった
それは自然現象のように鳴っていたのだ
線路は続くよ、どこまでも、
永遠のふりをしてまねをして
線路は続くよ、どこまでも、
人間のつくった平行線だった
うしろからのどかな警 ....
着いてからでじゅうぶんだと甘く考えていた
ホテルは全日空のスイートしか空いてなかった
だから米子で車中泊することにした
中原中也の詩にあったのは米子
ここは鳥取の米子
山陰合同銀行のパーキン ....
生まれてこの方甘やかされて育てられてきたから
苦労という苦労をしたことがない
ややこしいことに巻き込まれることはあっても
いつもかならず着地だけはうまくゆく
だからひとの心だとか貧乏の辛さなど ....
すこしグレーの染みた水色の空をバックに

街道の広い駐車場でのぼりがはためいている

風をコピーして光と影の紋様を見せてくれている

政治経済や環境や人心などの問題を

空やのぼりを見つめながら考えて ....
夕日の終わるころ
僕はなにに影を落とすだろう
うらぶれた浜辺の賊らが踊りだせば
僕は楽しいことだけをしよう
おなじ波なんてあるのだろうか
波は波にちがいない
それだけでいいのではないか
ささやかな浜辺 ....
なにかを変えてゆくとき
そのなにかは終わり
そして変化したなにかが始まる
そのあわいには混乱や苦悩がある
きょうがそのようだ

向田邦子が通った喫茶店で
こってりと苦い珈琲を二杯のんだ
六十を過ぎた四 ....
はっきりとした目的もないと

矢印が他人事のように見えてくることがある

この矢印はじぶんにとっての矢印なのか

ぼくはどこへゆこうとしているのか

矢印はなにも知らないだろう

そんなことぼくが決め ....
公共性のない才能と

正解を欲しがる幼稚性

そのどちらもが

渦になれないおまえら液体だ

いちからじゅうまで

そんなんじゃいやなら

おまえらの惨めさにおれは蓋などしない ....
小学生のころ正義帳なるものをつくった

表紙には宇宙に浮かんだ地球の絵を描いた

その絵のうえの余白に、せいぎちょう、と記した

1ページめにはまず、せいぎのるーる、五箇条を書いた

あの頃といまも考 ....
salcoさんの吉岡ペペロさんおすすめリスト(116)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夏休みの思い出- 吉岡ペペ ...自由詩510-8-15
クライマーズ・ハイ- 吉岡ペペ ...自由詩610-8-13
永遠のイメージ- 吉岡ペペ ...自由詩610-8-8
夕方のくそったれ- 吉岡ペペ ...自由詩210-8-5
おれはおまえでくるしみたい- 吉岡ペペ ...自由詩710-8-1
ひかりに照らされた洞窟- 吉岡ペペ ...自由詩310-7-20
人妻- 吉岡ペペ ...自由詩710-7-5
にどめの死- 吉岡ペペ ...自由詩910-7-3
留守電までの時間6秒ぐらいにしろよ- 吉岡ペペ ...自由詩310-7-2
宇宙のものまね(2)- 吉岡ペペ ...自由詩310-6-27
悲しい音- 吉岡ペペ ...自由詩710-6-15
青山一丁目から- 吉岡ペペ ...自由詩810-6-4
宇宙のものまね- 吉岡ペペ ...自由詩14+10-6-3
生死の皮膜- 吉岡ペペ ...自由詩310-6-3
小暗い森- 吉岡ペペ ...自由詩510-5-26
あなたの息子- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...610-5-25
クサマヤヨイの絵- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...510-5-25
6月- 吉岡ペペ ...自由詩7+10-5-23
息をする- 吉岡ペペ ...自由詩910-5-15
緑のモザイク- 吉岡ペペ ...自由詩1110-5-9
藤の花ぶさ- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...1410-5-5
踏切- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...710-5-2
積木のタペストリ- 吉岡ペペ ...自由詩410-5-2
坊ちゃん- 吉岡ペペ ...自由詩10+10-4-27
本日は晴天なり- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...16+10-4-25
浜辺の賊- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...610-4-24
混乱や苦悩のあわい- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...810-4-23
矢印- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...810-4-22
太陽を浴びるふりをしろ- 吉岡ペペ ...自由詩810-4-20
せいぎのるーる- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...24+*10-4-14

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