一段と冷え込む朝だ
埃色の毛布に包まりながら咳き込んだ
小さな体の快活さに一層むせる
いたずらに温もりをまさぐるそれは
疑問符の尻尾を落ち着きなく振り動かし
そわそわと春の訪れを待ってい ....
生まれる前日の私は
今日の日のことを知っていた
今日に憂いて泣くことを
先に私は知っていた

愛を求めて痛むことも
求めぬ愛に泣くことも
先に私は知っていたのだ

父よ母よ
あなた ....
(貴女は、だんだん、眠くなる。)


欲望はいつも、最後に瞳孔をひらかせる。

深く閉ざされた眼をもつ者の数だけ、暗い夜の、虹をみる。

荒野を疾走する犬の群れ。


 ....
「あなた」

あなたは歩み
わたしに残されたものは
ただの影法師


「ひみつ」

そっと、唱えてみた
遠い昔の
あなたとわたしだけの呪文


「ひとりぼっち」

時が ....
岬の塔に幽閉されていた

風の声を聴き

海の虚無を見つめ

雲やひかりの階段に

来世への憧れを昇らせていた


塔の内にある肉体が

世界を傍観していた

世界は私と ....
* まご

孫という字は
花に似ている
近くで見れば
込み入っているのだが
遠視眼で見れば
花に違いないのだ

わたしは間違っていた
孫を見ていれば
それがわかる
虫けらもあり ....
あどけない湿度

風ほどけてそぞろに

空では光や影がであっている

来世への階段を幻視する


遠い空に

春に

屹立せよ風

自殺に憧れるその鼻を

岬のむこう ....
{引用=
赤くて甘い熟れた先端よりも白くて硬くてすっぱいお尻を
齧ったときのほうがずっと春に近づけるんだってさ。
朝から晩までへたのまわりに齧りついたのに、今日の天気は雪です。
舌がただれて痛 ....
今度こそ 今度こそ
何度も同じ言葉を繰り返してきた
そしてまた 同じ言葉を吐く
今度こそ

自分の中の甘え 怠惰
肉と一緒にそんなものたちを
洗い流してしまいたい

他人の視線も気に ....
雪の上に残る
踏みしめた足跡
一つ増えるごとに
私は素直な心を
取り戻していきます

小さかった手が
だんだんと大きくなるにつれ
大きな愛情から
逃げるように
離れた強がりの私は
 ....
               奇数行 萌木 碧水
               偶数行 奥主 榮

  この先を曲がりいる
   だらんとぶら下がった
  はたとしずまり
   くもの し ....
疲れてきたのかな?

女子マラソン観てたあの人がつぶやいた

どれどれとテレビの画面を見やれば
折り返しまで先頭グループにいた選手が何度も後ろを振り返った

背後に見えるのは何なんだろう ....
冬の終わり、夕暮れの川原に

少しさびしそうな背中をした旅人がひとり


その背中を今日も

夕陽がじんわり染めています


雨の日も雪の日も

夕陽はいつも

旅人の ....
                奇数行:萌木 碧水
                偶数行:奥主 榮

  するり とすぎた
   形がないまま ふわりと
  いま なにが流れたの
    ....
世間では今枕絵が熱いらしい

見たことのない景色みしてよ

わがままだけどいいじゃないか

こんな広い宇宙の中なら一つくらい

夢物語りの世界が合ってもいいじゃないかな

通り魔は ....
ため息まじりの雪が
音もたてずに降り積もってゆく

そうよ
ため息は空気よりも重いのよ
あなた知っていたでしょう?

でも変わらず
雪は何も語らず
ただ街を白くする
白くする…
 ....
だれの悲しみも
きっと癒せない
アルファベットは知ってはいても
心をうつ
その言葉の意味をわかって
この言葉は生まれないの

だれかのために
うたうことはない
そうだと 言ってしまっ ....
昼時をちょうど過ぎようかという時間
決して長くはない行列の最後尾で
ただぼーっと店内を見ている
忙しなく揺れるエプロンと
食べ終わった食器のガチャガチャは
去年のマレーシアを思い出させる
 ....
てのひらに乗るくらい
小さな桃色の巻貝だけ
あなたに送ったのは
あなたがくれたお手紙が
あまりに優しすぎて
どうご返事してよいのか、思いつかなかったから


その貝は、私が小学生の ....
浴槽に声を浮かべて
その上澄みから
綺麗なものだけを選んで
束ねたあと

それを
誰かの届く距離より
少しだけ、遠いところに放る


そして、わたしは
誰かがそれを追 ....
 
 
ミュージシャンを夢見て
君はひとり
こんにゃくを背負って
旅立っていくのだった

あれからどれくらい経つだろう
生きていれば
誰もが思う
あの日
何かを間違えていたのかも ....
真剣な 君の眼差し 恋をした 息をするのも 忘れる程に こんなに寒い日は君との距離を痛感する
ほんの数センチの立ち位置から生ずる隙間が遠すぎて

言葉を失う前に何かできる事はないかと
必死に君の目をみてそっと近づいたら
君の体温はむしろ少し痛くて ....
{引用=





人間には
なあ〜んにも
わかっていない


 赤が赤であることも
 赤とは何であるかも

 自分が何もわかっていないことも
 何がわかっているのかも
 ....
夕日はぼくの月だから

きのう月がうつくしくて

夕日のこと考えてしまってた

月がさんさんと照っていて

それは夕日みたいで

きのう夜はとても満月だった

夕日のこと想って ....
音が無いのならば創ればよかろうと
できた文字を束ねて音を組み立てた

私は音に勝つのだ

熱さえも生まれるほどの熱意をもって
ひびけ ひびけ 私の文字よ

りんと 鳴った ぐわわわわわ ....
月が大きく自己主張した夜
私の家出はまた延期される
わかっているのだもの
どこへもゆきたくはないと

見知らぬ男の両の足の間に置かれ
身動きとれない それが
子守だと知ったのは母の笑い話 ....
プレチピテヴォリッシメヴォルメンテ?
いいや、急ぎはしない
ただ
歩き続けるだけ

だが峠の茶屋の親父は
ウラル・アルタイ語賊の密偵だった
本性をあらわして
文末の妙技は鋭い鈍器のよう ....
話を聞かずに、
女は紙飛行機を折っている。
無垢な翼だと今は思う

針路はどこへ向かっているのか知らない。
風はその都度
手のひらをかえすもの

冬の空は形容詞を求めない。なのに、
 ....
ぎゅうぎゅうに凝り固まった脳みそのなかに
気泡が浮かんでくる

ぷかり、ずきん
ぷかり、ずきん

ため息

左の耳が聞こえない
中耳炎の海なかに
気泡が浮かんでくる

ごぽり、 ....
窓枠さんのおすすめリスト(375)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
フェイクファー- ゆえづ自由詩210-2-3
生誕前夜からの手紙- 朧月自由詩510-2-3
催眠術師- 楽恵自由詩5*10-2-3
未練- 殿上 童自由詩11*10-2-3
来世への階段- 吉岡ペペ ...自由詩510-2-2
花ことば- 合歓木自由詩310-2-2
春に屹立せよ風- 吉岡ペペ ...自由詩710-2-2
((いちご)のつぶつぶ。)革命- 夏嶋 真 ...自由詩30*10-2-2
ダイエット- 綾瀬のり ...自由詩810-2-2
足跡- ミツバチ自由詩22*10-2-2
交錯詩「路地」奥主_榮__萌木_碧水- 鵜飼千代 ...自由詩4*10-2-2
振り返るひと- 恋月 ぴ ...自由詩30*10-2-1
やさしい夕焼け- 楽恵自由詩5*10-2-1
交錯詩「風」奥主_榮__萌木_碧水- 鵜飼千代 ...自由詩5*10-2-1
枕絵- こめ自由詩1210-2-1
雪の白とため息の白- 麻生ゆり自由詩3*10-2-1
天然果汁- 朧月自由詩410-2-1
吉野家にて- 中原 那 ...自由詩9+*10-2-1
なぎさ便り- 楽恵自由詩8*10-2-1
上澄み- 山中 烏 ...自由詩3*10-2-1
こんにゃく(に)- 小川 葉自由詩110-2-1
- ミツバチ短歌5*10-1-31
都会の冬に埋もれて- 自由詩5*10-1-31
赤の林檎- まどろむ ...自由詩7*10-1-30
アスファルトのうえで- 吉岡ペペ ...自由詩710-1-30
一線の音- 朧月自由詩410-1-30
自己主張の月- 朧月自由詩510-1-30
峠のダゴン/彼我は何をあぎとうものか- 海里自由詩310-1-30
歩道にたまった枯葉が風に飛ばされていく- プテラノ ...自由詩410-1-30
偏頭痛- なき自由詩2*10-1-30

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13