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―もう少し生きてみるか―
駅の改札を出てきて
ふと洩らした中年男のことば
連れがいるわけではない
一人で改札を出てきて
ふと洩らした独り言
僕は電車に乗ろうとして
改札に向っ ....
故郷に向かう電車で
斜め向かいに座った男性は単行本に夢中だった
その人が
かつての同級生
しかも
思春期に
恋焦がれてラブレターを送った相手だったりしたら
と
帰ってきた家で
ほ ....
それは一晩中泣き喚いた後の
空の真白
真白で無関心な、朝、まぶしくて
腫れ上がった目蓋と、熱い頬と
厭味たらしい空の
詩を忘れた
詩を忘れた
詩を忘れた
後は空白
空の
{引用=冬}
一月
夢から覚めた
中世の僧たちが
山の僧院から
列をなして
出てくるところだった
杖を突きながら
歩いていた
暗く
葬列
そのもの ....
空へとつづく迷路に生まれ
空とは知らず昇りつづける
落ちゆくかけらの姿が見える
くすぶる姿で描きつづけている
湿り気に満ちたからだを
光の板におしつけ ....
朝起きたら
田中だった
田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない
田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる
本当の事を云 ....
世界の外側は
ただのプラスチック
だから何も
心配することは
ないんだよ
光を浴びて
ミジンコが増えて
バクテリアが増えて
小さな魚も
小さなエビも
小さなタニシも
みんな笑 ....