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彼女はいつも小さなベランダから
校舎裏の駐車場で
憂鬱に潰されてかかっている俺を見つけては
静かに螺旋階段を下り
情熱も慰めも含まれていないキスをくれた
唇が触れた跡には淡い火傷のような感触 ....
トイレの中を
赤い鳥が
泳いでいる
すっかり
無駄になったものは
なんて
きれい
捨て去ってしまう
ぜんぶ
胸ぐらを
つかんだ
手の硬さ
殴ろうと
思って
会った相手を
 ....
 覚えている。
 まつげ。くちびる。あごひげの、長いところ、みじかいところ。つむじ、寝ぐせ、大陸みたいな背中。せまいキッチンの、ほこりをかぶったトースター、使われたことが一度もないみたいな炊飯器。ひ ....
夜な夜な通う男があった。
おのれとは不釣り合いな貴人であると思ったから、
娘は誰にも告げなかった。

幾山越えて川越えて
林を抜けて森抜けて
夜な夜な参る者の名を
ちちはは知らずたれ知ら ....
 
 
雨上がりの軒下で
兄はひとり
シュレッダーになった
わたしは窓を開けて
要らなくなったものを渡す
最新式なのだろう
やわらかな音と振動で
兄は細断していく

ダイレクトメ ....
{引用=

眠っているあなたに ささやきかける
海峡の海鳴りがきっと
霧のような不確かな、消え入りそうな言葉を運んでくる
小さな螺旋の都に吸い込まれるように
淵をなくした深淵へと
言葉な ....
大学生のぼくが朝おきて携帯をみて駅から電車に乗って学校で友達に会って
帰り道にスーパーマーケットに寄って出来合いのお惣菜と鮭を買って
うちに帰って焼いて食ってテレビを見てお風呂に入ってメールして
 ....
わたし、を閉じ込めた包み紙がべたべたする悪夢を
かなでる色彩の
調律に
まどった

はじめに黒を描いたのは
いちいち死んでいく感情のモノクロームを撫ぜるため、
であって
硬質のうみの底 ....
 
 
正確な数値はわからないけれど
たぶん5%くらいになったあなたの体が
目の前に横たわっている

よほど熱かったのか
素手で触れることはできなくて
箸で摘まんでいる

かつてあ ....
この部屋は まるで 水槽
口をぱくぱくさせている 光のあわいに あわせて
線路から 水があふれでて ドアをたたく
6:10 6:20 6:30 6:40 6:50 7:00
   電線を雲がは ....
まず、声を変える
あー、あー、
自分にとって、いちばん低い声を確かめる。

鏡に向かうと、
バリカンで髪の毛を短く刈り込む
思っていた以上にサッパリとする。
大仕事はこれからなのに
 ....
日本映画特有のこげた画面の中に君がいるよ
私は突然キスしたくなって
君の視力の話をするの
「眼鏡を取ったらどれくらい見える?」
度のきついレンズをやさしく外して
ぼやけた視界をいいことにして ....
  
 
雨が魚の中に入る
滑らかな質感でバスが流れていく
タクシープールの人たちが性器まで濡らして
蝶番のついたドアの開閉に忙しい
窓に沿って座り
ベッドがあれば眠ってしまう
私はぴ ....
 
タンスの引き出しを開ける
中には冷たい水族館がある
死んだミズクラゲが二匹、三匹浮いている
私は係員ではないけれど
係員であるかのように網ですくい上げる
これをどうしようか思っていると ....
朝のような
首すじだから
遠くから見つめている

階段をのぼっているだけなのに
人生だ なんて言っていいのか

自由と自由の間に
履物をそろえる

わたしを取り去った世界とは
ど ....
 
 
今日は晴れたので
君と散歩に行く
君は摂氏三度
手をつなぐと
昨日よりもあたたかい

こうしてるうちにも
春が近づいている
なるべくそのことには触れないように
君の手を握 ....
ごめんなさい とあなたが言うから
ぎゅっと抱きました
生きていたくない とあなたが言うから
なにも言えなかった

息をしてるだけで ごめんなさいと
あなたが手紙に書くから
息をしていてく ....
{引用=
赤くて甘い熟れた先端よりも白くて硬くてすっぱいお尻を
齧ったときのほうがずっと春に近づけるんだってさ。
朝から晩までへたのまわりに齧りついたのに、今日の天気は雪です。
舌がただれて痛 ....
いやな雰囲気で目覚めるのはよくあることで
なんとなく被害者めいた気分で体を持ち上げる
騒々しい光が 厚いカーテンを押し退けようと疼いている
ぼんやりとそれを見て
胸のした揺れる 赤い実に気付い ....
ひどい色をした兎だ
毛の先まで汚れて
僕はそれを抱きかかえ
洗ってやった
「あっ」
と声を上げたのは僕さ
間違えていた
汚れていたわけじゃないんだ
それは最初から
薄汚れた色だった
 ....
言葉はひかりより
遅れてやってくるから
たぶんまだ
君は粒子で
かすかな時間差の中に
小さく膨らんだり
縮んだりしているんだろう

空は淡く
まだ少し痛いから
僕は水辺にいて
円 ....
+


花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた


+


花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
はるかにはるかにむかし
誰かがひとみを伏せることをやめた
それから今までずっと
空は空
何百億のあこがれを吸い込んでなお
変わらないのか

ぼくらが自由になれないのは
ぢめんに足のうら ....
お母さんのこと嫌いなの?

携帯電話でのやり取りを気にされたのか
調布駅の改札抜けたところで、由紀さんが心配そうに尋ねてきた

母のことかぁ、どうなんだろうねぇ
好きとか嫌いとかそんな物差 ....
ハワイは1年に3cmずつ
日本に近づいてるんだって
と君がいう
うん、いいね
とぼくたちは笑う

9才の君が
どんなに長生きしても
せいぜい3mか、そこら
それでも
いいね、とぼく ....
中に溜まった水をあけてしまい
(それはそろそろ腐ってしまいそうだったから)
地面をひたひたにしてわたしは
(時々粘っては私の背筋を凍らせるのだけど)
足先でかき混ぜた泥を拭っては
(きっとあ ....
「生まれ変わったら
 元気な体で生まれるからね」
あなたは最後の最後までそんなことを言って
私の心を最後まで離さないようにする
私はきっとあなたが死んでも
毎日のように病院に通いつ ....
{引用=
(She was once here. So was I.)


あなたがすきなのに
あなたがいなくなって
あたしはくうはくのなかで
あなたの残像を追う

あなたはせんさ ....
何年か待てば
私の細胞はすべて新しくなる
そうしたらこの
君についての記憶も新しくなるのかしら

心臓の一部の細胞だけは
生まれてから死ぬまで
一度もあたらしくなることなんてないらしい
 ....
気球が一つ空に浮かんで
青と緑と茶色のまだら
金魚鉢に浮かぶ藻と餌の粒みたいに
風に流れていた

赤い雨が降ってきた
金魚が空から降るような空模様だった
気球は塗り上げられ、今にも破裂 ....
あぐりさんの自由詩おすすめリスト(103)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
十六歳- 薬指自由詩410-3-22
aTo- イシダユ ...自由詩1110-3-19
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針刺して- 佐々宝砂自由詩9*10-3-18
名残- たもつ自由詩810-3-8
ウミネコの部屋- 月乃助自由詩17*10-3-8
道楽と職業- セガール ...自由詩210-3-7
深海魚(グロテスク)- 甘雨自由詩210-3-7
5%のダイエット- 小川 葉自由詩4*10-3-5
むかしみたAVビデオのタイトルがおもいだせない- イシダユ ...自由詩1210-3-4
男装- 楽恵自由詩910-2-23
本当よりも少し歪んで- なき自由詩3*10-2-23
大雨- たもつ自由詩710-2-22
水族館- たもつ自由詩810-2-14
首すじ- 昼寝ヒル ...自由詩1310-2-9
雪だるま- 小川 葉自由詩510-2-8
息_してる- 朧月自由詩1010-2-8
((いちご)のつぶつぶ。)革命- 夏嶋 真 ...自由詩30*10-2-2
赤の缶詰- 杠いうれ自由詩110-1-10
僕の魂は劣化している- 真島正人自由詩6*10-1-6
鳥の石- 佐野権太自由詩14*10-1-6
連詩「四季」_竹中えん_夏嶋真子- 夏嶋 真 ...自由詩2809-12-26
そらごと- 蠍星自由詩4*09-12-26
知りすぎたひと- 恋月 ぴ ...自由詩15*09-12-22
空を飛ぶ宿題- 佐野権太自由詩30*09-12-19
オートリバース- ジャイコ自由詩4*09-12-15
おいかけっこ- なかがわ ...自由詩209-12-13
クロマティック・ラヴ・アフェア(ガーベラの花束を手に立ち尽く ...- 瀬崎 虎 ...自由詩709-12-6
プラスティックメモリー- ジャイコ自由詩409-11-24
散恋休- 木屋 亞 ...自由詩4*09-11-22

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