すべてのおすすめ
ひきだしのおくから
あなごりょうりのみせの
チラシをみつけた
いつかちちを
つれていきたくてとっていた
チラシだった
あなごが
すきかきらいかなんて
かまわなかった ....
なにかをやりつづけていると
なにかをやりつづけているなりに
できているわたしがいる
こんなこともできるんだね
あるひとが
あるわたしをみつけて
いってくれた
それでい ....
ははににたろうばが
えきのまえにすわってる
ちいさなリュックひとつで
このひとにも
かつてしあわせなひびがあったのだ
としったのは
わたしがこえをかけたからだ
それだけでわた ....
もも肉が
百グラム当たり
九十八円で
売られている
もしわたしが
鶏だったなら
もも肉
という名で
売られていたのだろうか
わたしの名を呼ぶ
母さんを
追いか ....
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた
わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから
おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
....
セーターを忘れたことを思い出す
戻るべきか残すべきか
その部屋がこの部屋になる君の部屋
あのセーターが君の部屋着に
レコードも本もおかしな置き物も
君の部屋に残し ....
都会の道ばたに
一人立ちつくす感じと
故郷の川べりに
一人立ちつくすあの感じは
とても良く似ている
人は道を泳ぎ
魚は水底で働くのだ
生きるために
どちらも正しくて ....
きらきらと
光が降りている
あれは神さまが
写真を撮っているのだ
という話を
君としたかもしれない
木漏れ日の下で
あの日僕らは
どんな生き物の姿で
....
にかいのへやで
あそんでいる
たたみのふちをせんろにして
おもちゃのきしゃを
はしらせている
たたみのかどを
もうひとつのきしゃが
うせつする
わたしもさせつして
そ ....
イマ カエル
妻に電話する
自分の声がおかしい
イマ カイモノ シテル
妻の声も
カタカナになっている
おかしい
近くで息子の声がする
オツキサン ミエナイ ....
目を開けた
まま眠ってる
アパートの
水槽の部屋
見知らぬ魚
いつからか
りょうしんのせなかに
はねがはえている
まだそらをとべるほどではないから
あんしんしてるけれど
それはすこしずつ
おおきくそだっていることが
あうたびにみてわかる ....
命がひとつあった
命なんていらないと
思ったときもあった
命がふたつあった
どちらかの命が
残ればいいと
思った恋もあった
命がみっつになった
みっつすべて
残ら ....
庭の外に
泣いている人がいる
君の友達だったかもしれない
それは秋の虫だ
りんりんと
しんしんと泣いている
まだ死にたくなかったのだろう
泣く声は、鳴く声になって
いと ....
言葉にならないことを
言葉にする
しなければならない
そんな時
壊れやすいものを
投げつけて
壊してしまった
そのことを
生きてるだけでいいのだと
ゆるしてくれた
生き ....
よちよち歩きの頃から
そう呼んでくれた
近所の酒屋の父さんが
亡くなった
いつか帰省した時に
店にタバコを買いに行くと
タバコよりもたくさんの
缶ビールをくれながら
....