すべてのおすすめ
(この世界にうまれなかったすべての記号たちに
琥珀色した光りが届いたなら――)
/星が瞬きも忘れて
/死を視ている
世界の空が薄い琥珀のように潤み始めた頃には残された ....
10月27日 曇
僕は数を数えるのをやめた
「僕はハルシオンになったみたいだ」と に言った
は腕を縦に切ったカッターを机に置いて力を込めた
「おけちゅるゆりかりゅ」
....
ひとつのメルヒェンが世界を往復するあいだに
路地裏の女はひらがなで大きく書かれた
しなないという文字を
街の中心地へと押し出そうとしている
(光の海で星と泳ぐ少女の物語も日が暮 ....
「僕は生まれるまえから窓のない部屋に住みたかった。
落日の骨は終わらない記号のなかに消えてしまった光の海へとかえってしまう。」
君は自分を求めない問いが何番目にあるのかを知っていたの ....
「つよいかぜのうしろでうまれたちいさなあわがいます。
あのこはけさそらへとのぼっていくゆめをみたそうです。」
きえていくあわをとおくにみながらのぼってゆくのです
生 ....
(終わる世界、)
(青い鳥が空へと流れた、)
ようすいに集まった子供は暗くなるまえに家に帰る
こころのかたち、人のかたち、
雪を知らないアマリリスを神さまと見間違えたと ....
箱に詰めて流したきみを
どこか異国の空が受け止めてくれているころかしら
どうしてもコール音が鳴りやまなくて
きみは深海の奥深くへ行くと言ってきかないものだから
回転する機械はいつも
わた ....
私はあなたの緑色を
深く閉じ込めることにしました
かわりに私の藍色を
きみの背に縫っておきましょう
囚われた星は
流れ落ちたきみの
カフスが優しく受け止める
それは仄かに光って私の目 ....
ぬめりを帯びたきみの声は、
彼女の黒髪に吸い込まれてしまい。
ぐるぐると絡め取られた手足の先に求めた意味を、
きみは簡単に剥がしては食べてしまいます。
彼女の記憶のなくした部分には緑色のわ ....
頬がストロベリィジャムの女の子が生まれた日にはたしか
僕は君とあたらしい世界について話していた
その日が何曜日かなんてのは僕たちにはどうでも良くて
クリィムを混ぜている水車を見るとそ ....
クリームで前が見えないけれど
世界には青が降っている
炭酸を抜かないで
誰かの声を聴いた僕は夢中になって世界を振った
*
勢いよく噴出した青を二人の子供が飲んでいた
子 ....
「僕たちは遠くの遠くの空の向こうへ行かなくてはならないのだと生まれる前から約束されていたのだけれど、」
(蠍は現実のなかから降りてきていました。
機械鳥は最後に僕か君かを選ばなければなら ....
わたしが無職だったころ
茹で卵と塩むすびだけはんかちに包んで
毎日河原へ出かけていた
それしかやることがなかったのだ
アンケート用紙とかに
無職
と書くのが厭だったので
仕事を探してはい ....
君の首筋に
この指をなぞらせる
はやく
心臓をえぐりだして
左心室の筋肉の美しさを閉じ込めてしまいたいと思う
虚ろを見据えるその瞳は
もう二度と脳内と信号を交換することもないのだ
....
1
「――光は痛いですね。
きみは風にのれば影がなくなるのをしっていますか?
きみの記憶は焦らずに、
ゆっくり歩いていけば自然と埋まってゆくでしょう。
きみよりも地面 ....
光がきみから離れていった夜のはなしをしよう。
「それは煙が濃くなり壁となった夜、
彼女が川にやってきたあの日のこと。
(――あ ....
此処までがわたしで
彼処からをあなたとすると
あなたは夢をみるだけ夢から離れると云うことになります
行進する群れの中から
あなたひとりだけが選ばれたと云うことなのでしょう
上へと還る ....
この頃のぼくは、
紅茶をストレートでは飲めないけれど、ココアは何だか甘すぎて。
真夜中のトイレットは怖いけれど、昼間の父親は何だか嫌い。
灰色のどぶ鼠。
白じゃないけど、黒じゃ ....
わたしにはわたしが見えて、わたしはわたしに会いたかったのに母はわたしに会わせてはくれないどころかわたしには狐がとり憑いたのだと言います
わたしはわたしに会いたいだけなのに、です
わたしが向 ....
夢がまた落ちてゆきました
いつか僕たちはまぼろしの形をした記憶のなかに沈みます
君には誰も読んだことのない本を読んでほしい
うまれる星の話
海に咲いた永遠の話を
世界中の誰も ....
はじまりは、「鱒夫の憂欝」
ああ!――磯野家へと続く道! おお!――散らばった靴たちよ! 俺が婿にきた時は綺麗に掃除されていた玄関は今はどうだ? 当時の、波平の笑顔さえ遙か遠く ....
教室でうずくまり光に焼かれた青みたいに小さくなって眠った子がいた
私は違う
学校が終わったら友達に黙って先生のところに行った
彼女の夢のなかで泣いていた女のひとはどうして泣いてい ....
君は暮れ果てた記号の森ふかくで永遠と出逢うだろう
僕は知っている 泳ぐのを止めてしまった魚 そして地獄を
君は目を醒ますことなく星を抱いている 月光を 浴びながら
甘い偽 ....
1
(記号が離れていく)
(この消失の先にある果ては海ではないと少女は言う。
あれはリベラだ)
近く、震える目蓋が幻影の旅団を打ち倒し俺はベネズエラへと旅に出る。
「 ....
わたしは消えてしまった光をのみこんでおちてゆくので
海へとかえってしまう
小さな夢が微笑みながらわたしのほうに歩いてきて
わたしは夢の続きへとはいっていかなくてはならない
(教 ....
(もううんざり!!)
ほらほら、教室から飛び出した鳥、夢のなかの数学の授業で先生が言っていました、「死が我々の隣にないのであれば私たちは消えてしまうしかない!」って。――ねえ、先生、も ....
世界はいつも濡れていて 陽射しが人々を焼こうともすぐ隣では雨滴が垂れていました
四月 世界の中心 学校の工事は水の神様に赦される為
海へと続く道を狭めていた街路樹をまずは ....
通りをまっすぐ行ったところに置かれた忘れ物よりもむこう
右へ右へと使われなくなった線路を歩いていくと役目を終えて眠りについた人形がいます
そこには電車と同じで動かなくなった時にだけ優しくさ ....
とうめいになりたいとねがった。
かぎりなく、ゼロに近いとうめい。
たとえば、試験管の底みたいな。
たとえば、暗闇に光る街灯のオレンジみたいな。
....
よるにむかって、
てを、
のばしてみた。
誰かが迎えに来そうで、
怖い。
誰もいないことを確認して、
恐怖がつのる。
よるのくうきが、
わたしを、
引き裂きにやってくる。
....