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また一枚
ふるさとから剥がれ
影のように
うっすら電車に乗る
私たちから
離れて行って
やがて
立ち止まる
立ち止まる
点々とする縁石の上で
淡い硝子戸の
上がり口の前で ....
雪
のけぞる
空
雪 降りまして
全天 ががが
震えます
ががが
滑らかに
雪 行くときの
滑りゆく雪
卑屈な川
雪 舞い
目頭が
あ ききき
痛む
....
わたしが眠れないとき
眠れないことを
わたしは
よく噛んでいる
わたしが眠れないとき
曲がった中指の先の届く距離に
耳の史蹟を
置く
わたしが眠れないとき
花花が群青色の香り ....
庭の柴木の陰に
たくさんの夜がこぼれていた
薄い産毛の生えたまだ若い夜から
硬く曲がった血と血の夜から
とりどりの夜が
折れて重なる か細い枝の隙間に
埋まっていた
空の低いとこ ....