すべてのおすすめ
1.

手紙は書きかけのままテーブルの上で黴びてゆく。
青黴、赤黴、黴の色ってそんなに単純だったかしら。
ふくりと黴が起きあがる、
まき散らされる胞子は常に薄い紫で、
私の部屋はすっかり煙 ....
窓ガラスがかたかたと鳴るのは
風のせいではない

カーテンが明るさに焦げているのは
西日のせいではない

窓に背を向けて本を読み続ける
誰かが肩に手を置く
焦げた風が髪をちぢらせる臭い ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
ここで赤い魚の話をしてはいけません

最初の貼り紙は公民館のドアに貼られた
誰が貼ったのか
誰も知らなかった

次の貼り紙はあちこちのスーパーで見られた
誰が貼ったのか
店員も店長も知 ....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、

あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
夢の中で川を下ったのと云ったら
ああそうなんだきみも下ったのかと
あのかたは云ったのだけれど
そういうあのかたは
夢の中で川を下ったことなどないのだと
わたしは知っていた

ほんとうのこ ....
「いるかのすいとう」船乗りさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=24102

***

 この奇妙にやさしい言葉づかいの詩について書くとき、がちが ....
メタンガスもフロンガスも
もうどうでもよくなってきたけれど
おれは戦うしかないらしい

最後まで いや
最期まで
おれは抵抗すると誓ったのだから

ポケットに手を突っ込む
最後のパイ ....
そら、なのか
から、なのか
どっちでもいいけど
「宙」と書いて「そら」と読ませるよりも
「空」と書いてなんと読むのかわからない
そんな曖昧さがわたしはすき

そら、だったのか ....
駅のホームに
オクラがひとつ
おはなしは
あなたが考えて

(夜勤前に愛野駅にて)
降りてくる。
それは不意に、
エスカレーターで、それともエレベーターで、
あるいは手すりのない広い階段を。
鏡に映るわたしの姿が歪む。
墜落する軽気球。

わたしは呼ばれてい ....
南西からの風が荒れて
夏は終わりかけているらしい
それでも温度は32度あるし
湿度ときたら80%を越えようとしているし
気圧計はどんどん下がる一方で

そのくせ雨はちょっとしか降ってなくて ....
夏バテしちゃって
ソーメンばっかり食べていて
しばらく米を食べてなくって
米びつの米はほっぽらかしで

へんだなあとは思っていた
締め切りの部屋に小さな蛾が群れ舞うから
妙だなあとは思っ ....
どうせなら
綺麗な水に浮かべばいいのに
ほんのすこし先に
飲めそうな水流れる小川があるのに

にごった水たまりにいる
無数のアメンボ。
そのものすごい密度といったら
日本の人口密度もか ....
十八歳のころから
ひそかに考えてることがある
考えるだけで実行には移してないが
裏山の防空壕跡に入るたび思い出す

そこにはそれはそれはすごいヤブカの大群がいて
それからちょっとしたコウモ ....
夏休みの宿題は終わったのと
かあさんは訊ねる
私はもう学校卒業したんだよと
何度説明しても

かあさんは言う
おまえはやく宿題をやんなさい
ツクツクホウシが鳴く前に
とっとと宿題を終わ ....
猫は中空を見つめていることがある。
なにもない空間。
なにもないはずの。

猫の視線がどこか一点に凝固して
黒目が大きくなると
わたしはすこしわくわくする。

猫の視点が
わたしの背 ....
アゲハは真上に飛び立つ。
目的があるみたいに
だけど少しも慌てず鷹揚に
まっすぐに。

あかるい春の日
かわいた地面に
ゆらゆらと落ちている
アゲハの影。

高く舞い上がれば
薄 ....
わたし
春の畑をあるく
やわらかな雨に匂いたつ
赤土

影の淡い腕が
いくほんも突きだして
足首をつかむ

でも
死んだ者のちからはよわい
幽明のあわいに建つあの門が
ぎらりん ....
ここから出なくてはならんのである
いつもよりは前向きな気分なのである
なんとかせなならんのはわかっているのである
何をどうしたらいいのかもわかっているのである
こんなことしてる場合でないのも
 ....
霜天さんの佐々宝砂さんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
姿見のうしろの物語- 佐々宝砂自由詩12*06-5-13
八月の西の窓- 佐々宝砂自由詩705-7-19
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16
赤い魚の話- 佐々宝砂自由詩8*05-6-24
かんむり座- 佐々宝砂自由詩2805-5-3
まるでどこかにつながっているかのように- 佐々宝砂自由詩704-12-31
【批評祭参加作品】いるかのようにかわいそうなわたし- 佐々宝砂散文(批評 ...14*04-12-16
最後の一分- 佐々宝砂自由詩6*04-12-13
わたしがシャンブロウだったとき- 佐々宝砂自由詩1604-10-15
おはなし- 佐々宝砂携帯写真+ ...2104-9-30
シャマンの唄- 佐々宝砂自由詩5*04-9-1
Shaman's_Love_Song_1- 佐々宝砂自由詩204-8-31
コクガ(百蟲譜46)- 佐々宝砂自由詩7*04-8-10
アメンボ(百蟲譜40)- 佐々宝砂自由詩204-8-7
ヤブカ(百蟲譜37)- 佐々宝砂自由詩604-8-6
ツクツクホウシ(百蟲譜31)- 佐々宝砂自由詩1304-8-4
ささやかな奇跡- 佐々宝砂自由詩504-3-26
アゲハ(百蟲譜22)- 佐々宝砂自由詩704-3-17
梅雨入前- 佐々宝砂自由詩404-3-15
とにかく書いてみるのである- 佐々宝砂自由詩604-3-13

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する