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うすむらさきの雲の向こうで
夕日がしずむ
水羊羹の表面を
スプーンですくうように
なめらかな冷たさを泳ぐ
信号機が ぱっぽう、と
くりかえし諳んじて
歩道橋はひとの重みにたわむ
み ....
さといもの葉の上を
するんするんと滑ります
あ、
(あ、)
水滴、すいてき、てきてきてき、
曇り空の弱いひかりに
あなたの瞳はうるんできらめく
つかみどころのない
あいのことば
....
いつか一緒に死海に行こうと
あの人が言うものだから
いつかっていつだろうかと
わたしは鼻をくすぐられる
あまいあまい
ほっとみるくのにおいは
たいようのように
あたたかくて
あつく ....
しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ
山奥の合掌造りで
祖母は暮らしていた
冬は深い雪に閉ざされ
ひっそりと
何もないところだった
祖母がまだ少女だった頃
屋根裏では
蚕を飼っ ....
ゆるゆると電車にゆられて
山奥へと連れられます
川はどこまでも川で
おしゃべりをしながら流れゆきます
*
雪よ
みて、雪よ
わたしたちずっと
海から生まれたものだと思 ....