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花先が指に触れる
雪の際からとけていく六角みたいに
わたしの指が花の熱で
輪郭を失っては蒸気になって
この空に還る
いまここに
この場所に
花先に恣意はないのに
わたしが勝手に崩壊して ....
うすむらさきのワンピースを着たほっそりした女が丘の上をあるいている。この女は主人公ではない。この女は主人公ではないが、とても重要な人物であることは確かだった。うすむらさきはそのまま黄緑の丘をすらすら ....
薄暗がりにあなたのこえ
ここはやさしい夜明け前
半分こもるはねごと未満
わたしたちの微かな同盟
思いも越えて跳びかえす
深く眠れと祈るばかりで
無力なわたしの無力な詩
どうかあなたの今朝 ....
どう見てもセブンだったコインランドリー
セリアになった文教堂
跡形もなく消えたケンタッキー
街の記憶ではない
私の記憶である
誰にも譲ることのできない
私の記憶である
市営住宅の ....
バスタブは白いのに中のお湯が水色もしくはアクアブルーに見えるのはなぜでしょうか。私たちは長らく父の作る青いばらの花をちぎって食べてきた。父を土に埋めた瞬間、全員が安堵した。あの青い花びらをもう見なくて ....
教室はひらたく冷たく新しいノートだけが勇気 四月
世界史の資料集先輩の名前空から降ってくる不良
追い抜かす時によろけているひとが怖い心が青い動物
弦楽器は満月、真か 解き明かすB判定 ....
日本語が美しすぎるのが悪いみながTOKYO出てゆかないのは
調子よき友人LINEで言うことにゃわれの浪費をハルノマモノと!
急停車、無言車内の春に漏る若きAirPods轟速のジャズ
....
さみしさは海を渡る
正確には海のうえを滑る
すさささと波をうすく蹴立てて
遠いかなたの国へゆく
かなたの国で出会うもの
鳥小屋、豆スープ、神様のかわりの紙
それらがさみしさを取り囲んだ時
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