やがて重なる
万願寺

さみしさは海を渡る
正確には海のうえを滑る
すさささと波をうすく蹴立てて
遠いかなたの国へゆく
かなたの国で出会うもの
鳥小屋、豆スープ、神様のかわりの紙
それらがさみしさを取り囲んだ時
さみしさは初めて
自分の形を知った
わたしこそが
あなたの形をしていた

もう思い出せないあなたを
海の潮が手伝って
さみしさは程なくあなたへ
帰る


自由詩 やがて重なる Copyright 万願寺 2022-04-03 21:52:58
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