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梅雨の隙間が薄日を誘い
湿っぽい四次元のけだるさを
いっときなだめすかしてくれる と
広場をめぐる木立ちからは
チッ チッ チッ と
....
たわいのないことだが
テレビの予報に反して
梅雨どきの浅い日差しが
わがやぜんたいのかげを
舗道につくってくれるとき
無聊にあまんじている
卒寿のおひとりさまに ....
冷笑しないでください
卒寿(おいぼれ)ともなると
ゆめとのぞみは萌えにくいのです
青い年
とちがって・・・・
謳歌はうまく唄えないのです
赤い「根明」(ねあか)の齢(よわい)
と ....
「未来」「永劫」の概念をわすれて
四季の移ろいだけにこだわる
余命わずかの
卒寿となったおひとりさまは
つつじが丘のひだにたたずみ
....
昨夜の夕食は
なにを食べたったか
なぁ
あぁ そうだった
カレーライスだった か
いぃ ....
海鳴りが四次元を冷遇して
呪文がハモっている
浦風の汀で おらは見た
艶のないカルマの鉄板を甲羅に
ぴったり貼りつけている
冬眠前の老亀を
....
みぞれが止んで 宵の冷気は重くなった
北風は示威をやめて 死に絶えた
庭木も庭木で 昼間のかげをたたみこんだ
どんな静寂の気高さが 月には秘められ
ど ....
「風光」はおまえのパトスに
潤いをあたえるために
「時空」はおまえのロゴスに
柔らかさをもたらすために
「老残」はおまえの生涯に
花の装いをほどこすために
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