すべてのおすすめ
チェス盤をたっぷり呑んだクジラの死
涼やかに 孤独な消火器の揺らぎ
百合を手に走る土曜日そのすべて
遊郭が透過してゆく左心室
脱獄囚 ピーチ・メルバを待ちながら
逆さ花 茎をあたしにどうしろというの
願ってもない 連れ込み宿の壁れんれん
アスファルト届き届かず朱い爪
(ペンギンの声引きつる ....
庭うさぎ {ルビ食=は}み尽くしても {ルビ茗荷=みょうが}避け
揚げ雲雀 後悔先に 立たずかな
鴉来る数十羽来る空は青
鴉悲しまず空の青海のあを
山に海に日の唇づくるとも鴉
鴉鳴く読点多き文読めば
人死にの記事を切り抜く鴉鳴く
鴉捨てにゆきてかえらぬおとうとよ
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指の跡 みじかい文の うらおもて
いまさらの 恋が見えない あぶり出し
ときどきが どきどきするほど わるい恋
瀬をはやみ割れたきりなる年の夜
心眼を持たぬ我らの初詣
拾ひしは空の財布ぞ初夢に
二階なき我が家にぞめくひめはじめ
ちはやふる{ルビ雪花菜=きらず}炒めつ落語聴く
うつし世は春雨なりき芝居果つ
渡り廊下の左右より春の闇
洗ひ髪夜しか逢へぬ人と逢ふ
揚花火仰ぐ横顔盗み見る
首筋に跡を残せし残んの蚊
衣かつぎ妻は家では酔へぬも ....
白髭の八と読んだり冬の山
大雪や山又山の8の道
大雪や木莬には木莬の塒(ねぐら)あり
水仙や四方八方こぼれ雨
芭蕉野分してスローカーブをもう一球(季 ....