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ヒガンバナが今年も灯る
曖昧を許さない輪郭で
そのくせひどい曖昧を宿す
秋に咲く大輪は葉を持たない
何もなかったところから花火みたいに
茎だけで伸びて
夢見がちなひろがりではじけて、 ....
おやすみの点呼は二回息を吐く
今日の思索を脱ぎ捨てながら
行儀よく今日の寝床をしつらえる
繭の機能を備えています
錠剤を飲み下したら探しだそう
数えきれない
羊の群れを
....
雨を聴くひと
土を嗅ぐひと
奏でられる調べには限りがある
奏でられない調べを夢にみすぎて
からだを置いてきた場所を
遠ざかってしまう
胸の奥には想像上の内臓があって
白いバラ線に ....
こずえとこずえをむすんだ線で空を区切ってください
右側にあるのが悪い雲
左側にあるのが良い雲です
どちらにも雲がなかったら
そこが天国です
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
うつくしい季節です
赤い花は風に千々に、
報われないとか
叶わないとか
そんな怨み言とはかかわりなく
身を任せてゆきます
昼下がり、ぼくは自ずから
人並みに戦々
立ち向 ....