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列車も停まらないような
ホームの一番端でひとり
ご飯を食べている
ちゃぶ台は誰かが置いていってくれた
多分、親切な人なのだと思う
納豆や根菜類の煮物など
好きなおかずを並べ ....
僕にヒゲが生えていた頃
あなたは優しくヒゲを撫でてくれた。
今ではすっかりヒゲは枯れ
ビルなどの建築物が建ち
唇の近くまで人も歩くようになったけれど。
あなたの手のことはあまり思 ....
近所の庭先に
みかんが生っている
枝は良く伸び
実は公道にまではみ出している
その下にひとつ
うんこが落ちている
多分、犬の
うんこ
何て素晴らしい響きなんだろう
純 ....
水のノートに
垂線を引いていく
印刷された罫線と縦横になって
小さな枡がいくつかできる
溺れないように
慎重に枡に指先を入れてみる
体温より少し低い水の温度が
むかし一緒に寝 ....
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる
その帰 ....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
魚のために
椅子をつくる
いつか
座れる日のために
背もたれのあたりを通過する
ふと、足りないものと
足りすぎているものとが
少しずつある
雨に濡れた生家が
生乾きの ....