薄暮に出現する影は
限りなく
薄い
太陽が西に消え
その魔力から
逃れた
サターンが
息を吹き返す
何処へ
行くのですか?
柊の赤い実が
真面目な顔して
問う
ええ、この ....
ベイビー
あたしのことをそう呼んだのは
最初の飼い主だった
本当の名前はコインロッカーベイビー
長い名前はめんどうなので
いつしかベイビーになっただけ
生まれてすぐ
まだ眼も開い ....
折り紙
あなたは何を折りますか?
折り鶴
空へ飛ばしませんか?
紙を折れば線がつく
たとえば人生が一枚の紙であったなら
線の数を讃え合いましょう
紙を広げれば最初からやり直せる
....
現実を超えた現実を生きている
尖頭恐怖症の男が言う
僕は丸い世界に住みたいのに
なぜか
角度がせまってくるんだ
君のその細い指さえ
心臓をつら抜く槍になる
空から降る雨さえ
脳 ....
今日の議題は今日の空! 昨日でもなく明日でもなく
誰にでも優しい男がいたけれどこの空みたいと思えばよかった
命って一人がひとつ持ってます持ってる間は生きています
病室の四角い窓が今朝 ....
舗石の下には砂
自由の下には旗
投げつけられた火炎瓶
怒号、
硝煙、
五月革命のパリ
嘘つきアルベール
誰しもあなたのことをそう呼んだ
真実ばかりじゃ息がつまっちまう
たまには嘘 ....
「平和な時代のこの国に
生まれたことを感謝しましょう」
先生は言うけれど
教室の陰惨ないじめを知っちゃいない
もしくは知っても知らんぷり
そのうち開き直ってふざけてるだけだとすり替える
次 ....
ベラドンナの毒が廻って
頭の中が痺れてきた
万華鏡くるくる回して
違う局面を探してみるけれど
見えるのは黒い★ばかり
ああ 自嘲的になっていく
わたしの鰭はうまく泳げない
愛という津 ....
ひらひらと
群青の夜空に舞う
暗闇の蝶――蛾。
揺蕩うように 揺らめくように
滲んだ月に 白い影が踊る
「今宵の闇は深く
あなたの声も聴こえない」
女は
蒼い月影のランプで手 ....
この世の中には
不愉快な言葉で溢れかえっている
目を瞑っても
耳を塞いでも
棘のある言葉が
皮膚を突き破って
神経にグサグサ刺さってくる
ああ どうすればいい
目と耳が欝に ....
わたしの中で
オンナが疼く
あなたに
逢いたい 逢いたい
この激しい衝動を
抑えられない
優しいあの人の
背中に嘘をつき
そっと部屋を出て
足早に向かう
あなたが待つ ....
朝起きて お天気がいいと
布団を干そうと 張り切ってしまう
ワイドショーに 好きなタレントが出ていたら
めっちゃ嬉しくて 一日中ハイな気分
クッキーと紅茶で 午後のティータイム
仕事と ....
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【 雪花 】
あ
雪が
頬触れ
ひらひら
ひらひらと
鉛色の空から
舞い落ちる雪花
白い礫が頬をうつ
熱き恋情抱きしめて
吹 ....
{画像=111007205854.jpg}
青
画用紙に青いインクを零したら
晴れやかな空になった
青いフェルトに涙を零したら
透明の染みになった
道端の石ころにも成れな ....
生きている意味を知るために
確かなものを探していた
信じたい言葉があった
『 愛 』 『 希望 』 『 約束 』
だけど解っているんだ
そんなものを信じるから
いつも傷つくんだっ ....
暖かい掌 冷たい掌 柔らかい掌 硬い掌
掌には いろんな感触がある
幼子のちっちゃな 紅葉の掌
老人の節くれた 皺だらけの掌
掌には いろんな人生がある
愛し合う恋人たちが 握り ....
春になるとお母さんは
いっぱいえんどう豆を買ってくる
それを いつもふたりで
キッチンのテーブルで殻をむいた
学校のは話をしながら
近所の噂話を聴きながら
零れ落ちた えんどう豆を拾っては ....
流れゆく季節の中に
打ち捨てられた想い
『 また、逢えるから…… 』
そう言って笑った
君の白い歯
お互いを忘れない
再会を誓い合って
僕らはそれぞれの街へ
帰っていった
距 ....
赤い月・青い月・黒い月
月はいろんな想いを映してくれる
わたしの心を捕えて放さない
あの月は魔物……
赤い月
男の背中ニ 爪ヲ立て
傷口から滴ル血で
夜の月ヲ 赤く染め ....
つながれっぱなしの犬がいる
中型雑種茶色の犬だ
散歩してるのを
一度も見たことがない
コンクリートの駐車場の中
小さな犬小屋で暮らしてる
動けるのは鎖の長さだけ
その空間の中で
お ....
降りつづく雨のせいで
部屋の空気が重く感じる
ポツリポツリと奏でる サティのピアノはけだるい
大きめのポットにダージリンティを入れて
ゆっくりと茶葉の広がる時を待つ
雨の匂いと紅茶の香り ....
薄絹の衣を纏い 緑の髪を櫛梳り
蒼き唇に 朱の紅をさす
青磁の香炉 紫煙立ちのぼり
伽羅麝香 甘き獣の匂いに包れる
萌黄の胸に 恋情を抱きしめれば
一途に慕うは 愛しい男だけ
....
わたしのナーヴァスをあなたは知らない
胸の奥に巣食う腫瘍から
躯中に毒が廻る
身悶えするような熱情が
不完全なわたしに火を放つ
赫い林檎を食べた日から
この身に孕んだ
情欲という炎の ....
沈みゆく夕陽の
叫びにも似た紅緋色
世界を燃やし尽くすように染めていく
心の渇望は際限なく
乾いた土が水を欲しがるように
あなたの言葉に耳を傾ける
わたしの葛藤は……
ざわめく言 ....
わたしの生まれた国には
四季があります
春 桜舞う
人優しく笑い
肩にかかった 花びらはらりと払う
門出の時 別れの時
感極まって 涙する人よ
夏 蝉時雨
突然の夕立に ....
硝子窓の向こう側
暗闇の中で
蜉蝣の透明な翅が
月の雫のように光っている
―― ヤミガコワイ……
呟き声がした
わずかな物音まで
深い闇に吸い込まれていく
一枚の硝子に仕 ....
暑すぎた夏が終わり
賑やかだった蝉たちも死に絶えて
地中深く 沈黙の蟲となる
キャンパスに描かれた
自画像は完成されないまま
白く埃を被っていた
数々の葛藤が わたしを苛んで
....
ザアー ザアーッと
出しっぱなしのシャワーの音
激しい雨が 大地を撃ち付ける
街も木も人々も
礫のような雨の洗礼を受けている
この雨がどこまで続くのか分からないが
雨の空間に閉じ込めら ....
だれでもよかった
私を連れ出してくれるなら
暗い山奥の村から
しわしわの年寄りになりたくなかった
自然の恵みを貪り食う
老人が仙人みたいな口をきくのに耐えられなかった
年寄りの年寄 ....
暗いとしか言いようの無いことを
考えてぐるぐる
なんで だとか
どうして だとか
特に自分で自分のいわゆる
だめ な 部分を
えんえんと つつく遊びに没頭する
そしていきなり
....
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