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地面から声がする
見おろすと小さな
白い帽子が揺れる
帽子を乗せている茎を折って
目の前に近づける
帽子に見えたのは
米粒よりさらに小さな女の子たちが
たくさんぶら下がっている姿だっ ....
{引用=
風に想う
均等な枝は垂直に ―▲
はてなく
天蓋にむけられ
無数の曲直はいまだに葉をもつ さかさまに立つロンバーディア
やせた巨人がゆれ、かしぎ 街のどの家よりも高い身 ....
きょう
夕やけを見ていたら 空が
あかい舌をだした
飛行機にのって
船にのって
汽車にのって
ここまで来たんだよ と彼女はいった
空と海と陸地と
そんなにいろんな乗り物 ....
お皿の上の
丸く盛った海老ピラフに妹は
グリンピースと人参をのっけて顔を描いた
半分食べて欠けた顔の
真一文字の口は悲しげに傾いている
幼い妹
どうか最後まで食べてやって
姉さんは風 ....
陽は斜めに射して蜜蜂が群れる
垣根には今年も薔薇が咲いた
みんな二人だけのもの
手をつないで小径を駆けてゆく
ぼくたちは (わたしたちは)
村はずれにひとつの廃屋を見つけた
秘密の ....
穏やかな波がわたしを襲う
安心してゆだねきっていた
わたしの過失
死んでしまった貝殻に
疑いを隠していた
ここは、なまぬるい
それは、
時にあた ....
治りかけの痔が
痒くて気持ちいいのだと
祖父は言った
痔は治りかけてるのに
とも
祖父は言った
私は誰もいない公園の
ブランコに乗り
治りかけの痔について
考えて ....
三角コーナーから
芽が生えて
もう、そろそろ
ひと月になるのでしょう
靴下の要らない
そんな気温が
続いたものですから
私の足は
いつの間にやら
....
その切り口から
ホックへ到達するまでの
いろいろな色を
目はもっている
目は心に聞くから
見えなくていいよ
胸の震えが教えてくれる
つららとつららのあいだを
虫が飛んで
した ....
水ッパナが止まらない。
だから油断してるとキケンなのだ。
一週間分の眠気が一気にやってきたようだ。
だから油断してるとキケンなのだ。
それはつまりアレですよ。
アレはやっぱりアレな感 ....
一九九五年
一月十七日五時四六分五二秒
兵庫県南部地震
後の阪神・淡路大震災発生
死者六千四三七名
負傷者四万三千七九二名
行方不明者三名
避難人数三〇万人以上
未曾有 ....
ひとしずくの涙を
顕微鏡で覗けば
そこは内包された
ひとつの宇宙であり
やがて夜も更ける空に
ひとつ、ふたつ・・・
星々は灯り始める
あれはきっと ....
本が十四冊ある
一冊目はこんなに厚いのに
十四冊目はこんなにも薄い
空白のページがたくさんある
行間を読む
なんて言うけれど
読むことさえ困難な
その空白に
息子が落書きをは ....
クリスマスローズ (慰め)
クリスマスなんて大嫌いと吐き捨てる
君の傷跡が透けて見えそうな夜
瘡蓋の上に貼りつけただけの棘に
僕が金色の星を灯してもいいかな
....
光にまぎれ
冬にまぎれる
ひとつひとつ
空に満ちる
花のかたちの水
ひらこうとする指さき
指さきは 指さき
雪になり陽になり
見えなくなり散らばる
....
教室、
ずんと構えた黒板に見張られた僕ら
先生はちっぽけで
虚勢を張っているがチョーク持つ手は小刻みに
震えているのが見えたから
僕らはくすくす
意地悪な空気が教室を包んだ
ねえ、先 ....
いつも行くレンタルビデオショップの
アダルトコーナーの企画物の横に死が立っていた
私が驚いてピクッと体が反応すると
斜め前の痴漢コーナーにつんのめり
行儀が決して良いとは言えない出立ちで
....
あなたの両手が
震えている
掌からは
せわしない日常が
ゆっくりと零れていく
{引用=
歳グヮ トッタネ
}
母よりも白い手で
母と同じくらいの愛情で
母とは違う眼 ....
ビデオデッキにテープを入れて
リモコンの電源ボタンを押した
テレビ画面の中に
七年前あどけない少女だった君が
野の花の姿で
{ルビ宇宙=そら}から受信する
言霊を
小さい唇から ....
窓辺で枯れた観葉植物
一滴の涙とやさしい吐息でよみがえるのならば
枯らすことなどなかったのに
どうして気づけなかった
日に日に干乾びていくその姿
気づいたときにはカラカラで
ミイラみた ....
ときどき
叫びたくなる
このジレンマに
描かれた雲
その上を走り回る子供
はて
あの日々はどこに行ってしまったのだろう
雲がよじれてしまう
あの子に惹かれるのは
重力のせいだと思う
毎日量り売りしてもらってほうばる
そんなわけで増えるのだ
あの子はとても軽く
難なくこなしてるよう
....
みわたすかぎりの草原でした
一頭二頭と牛が産まれると
そこは牧場とよばれました
牛は子供のように戯れて
やがて大人になると柵を越えていきました
柵をこえずに残る牛もいました
牧場とい ....
花のように
性器をさらし
相手を見つけることが出来るのなら
どんなに楽だろう
デジタルの時計を見ている
タイムスリップを繰り返している
1が出て唐突に2が来て
3がその上に重なっていく
分の十の位が一の位に話しかけていて
突然相手が変わったので
びっくり ....
知らないうちに
窓の外が雨になっていて
そして知らないうちに
雨は止んでいて
私は変わらず
想っている
雨が生まれる
辺りのことを
そこに住んでいるであろう
人た ....
タラテュララン
ピアノが踊る
小指の先で
タラテュララン
黒いドレス身にまとい
タラテュララン
私もうシンデレラ
時計は止まっているの
タラテュララン
....
『かすかな光り』と『わずかな灯り』
どちらが暗い?
ハルがボクに問いかけた
車窓から見える景色は夜景ばかりで
ボクは答えるのをすっかり忘れてた
夜 ....
「山はいい」と誰かがいった
笹薮を掻き分けると湖があった
あのエメラルドグリーンはまるで、と
吸い込まれそうになっていると
くわっと巨大な目になった
{引用=あれはいつか ....
marry meは言えないさ
僕らがいくら小さいからって
何でもできるわけじゃない
marry meは言えないさ
言えるのはきっと
大人の世界でちやほやされた
イチブのコド ....
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