愛と言う名の水もなく
ただひたすら歩き続ける
味方は誰もいない
頼りはコンパスのみ
乾ききった心
夢も希望もない
ジャーキーで
命をつなぐ
何も考えない
だだ生きるだけ
夜 ....
何かが叶うことを
素朴に夢見て
人間は生きている
一日一日を
地味に踏みしめてね
たった二百年も
生きれない人間なんて
太陽からみたら
それは ちっぽけだ
なんてね ....
苦しまずには
生きられぬので
彼を愛さずには
生きられぬのです。
狂つた世の中で
肯定出来ぬ
現実の中で
寒すぎる
冬の中で
呻吟し乍ら
立ち尽くしてゐる
彼の
夜を
そつと ....
昼には新幹線のなかにいた
各駅停車の新幹線だった
固くて煙草くさい客室だった
掲示板に流れるニュースを見つめていた
一夜明けても
首相から被災地へのメッセージはなかった
....
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
理不尽なほど大きな音がする
暗い
地上
力の
行進
高い
運命
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
....
六分咲きの梅をゆく
見つめる訳でもなく
香りのなかを歩いてゆく
ちいさくなって
盆栽を歩いてゆくようだ
つぎの休みまで待てなかった
人込みはまだ
春ほどではなくて生を隠している
お茶 ....
男どもよ、
おまえたちは、何なのだ。
おまえたちが女の子から
とくべつの親愛の情がこもった微笑みを向けられるのは
男どもよ、
それは、おまえたちが他でも無い
男であるからだ。
男ども ....
信者の行進は俯きがちで
淀んだ空気を見詰めている。
名前を呼ばれ
私は懺悔室へ向かう。
白衣の牧師
錠剤は聖書
神様だけが不在。
ぼくがきみの好きだった表情は
泣くのを見せまいとの泣き笑顔
悔しさをぼくにも見せまいと
弱音は吐かなかった泣き笑顔
その表情を見れなくなったため
ぼくもいつしか憶えた泣き笑顔
....
旋律のない歌
死なない死刑
敵のいない戦争
死のない生
文字のない本
結審しない裁判
沈黙しかない議論
性行為のないポルノ
狂人のいない精神病棟
どれも ぼくに似ている
い ....
いきあたりばったりに
集まった記憶のおもちゃ箱
きょうも両手で漁ってみるが
失せものばかりが鮮やかに
輝き失せぬ幻である
誰がもちこんだのか、モダンなデザイン 花札の
母の少女時代 ....
次の瞬間、
目の前にはグレーの斜め縞の歩道があり
潰された蛙のように両手を上げて
突っ伏していた
冷たい衝撃は
転がっている前歯のもの
遠巻きのギャラリーが安否確認をし ....
赤い
擦り傷
涙
嘘
想い
漂う
桜
夢
乱痴気騒ぎのマセガキと
晩春気取りのマドムァゼルが
虎視眈眈と狙いまするは
サイケデリッククライシス
恋と呼ぶには ....
さっきまでの雨が上がったようだ
雨の上がるように
ぼくも静かに死んでゆこうと思った
いまはなき
指揮者の合唱指導のエピソードを思い出していた
雨の上がるように静かに死 ....
歩くのはいつも なまの義足
寄木細工のじん帯をか細い骨で震わせながら
足裏に
肌合いのわるい
なじめなさを押しつけても
二つのものが 交互に役割を担うから
どこか
と呼ばれるcell(セ ....
きみを
たいせつにされていない時間をくべて
かなしい町にしよう
はじまりしかない町
わたしが保証されるほど
糸が切れていくようなので
まちがったままでいいのです、
す ....
朝起きたら予報どおりの雪だった
日常に旅が舞い込んできた
異国の雪のよそよそしさで
一日がすでに始まっていた
寒いのを閉めてカーテンをひいた
歯を磨き鏡を見つめた
磨くスピードが速く強く ....
風が強かった
雪が降っていた
さした傘にすぐ雪が積もった
歩くたびヌルッとした
べちゃべちゃとした雪
足裏も表も
駅に着く頃にはじんじんとしていた
手袋を忘れたから
指がうごかなくな ....
リズム、フレーズ、バイブレーション
メロディにスパイス
壊しながら構築する
リズム、フレーズ、バイブレーション
星が明るかった
夜が風が冷たかった
月だけが笑っ ....
NHKニュースで雪を知る
関東平野に雪が降り積む
あなたは天才だから
そんなこと
どうにでもなるのだろうけど
明日は早く家を出るんだよ
歩いて駅まで行くんだ
....
静かな 待合室に響く
早口で話す声
隣りにいる付き添いの人は
慣れているのか
相づちさえ打たない
脈絡もなく
しゃべり続ける婦人
耳を塞ぐ
イライラを通り越して
不安 ....
容疑者の写真がニュースに流れている
月が北東に隠れようとしている
あれは北西なのかも知れない
月が容疑者のように
どちらの方角にも気配を撒いている
三日月ぐらいの形を見つ ....
傘のさき
アスファルト滑らすみたいな
さびしさ
青い空の
すぐよこに黒灰色の雲の群れ
超電磁砲
追いつけば
広がるのは
明るい不穏
冷たい雨
....
2月も終わる
灰白色の曇り空
こころが痺れている
悲しくて
目や胸や膝が痺れている
青い空がある
それだって永遠じゃない
繰り返されている
だから生 ....
ぼくの抜けた歯を
おばあちゃんが外に投げた
いい歯が生えるといいなあ、と思った
冷たい夜気が窓を駆け抜けた
ぼくはテレビのまえで正座していた
正座して見ていると
おばあちゃんはいい番組だと ....
湿り気のある冷たさ
青灰いろが白んでいる
桜の木々のつらなりが
濡れた茶色で春を待っている
朝にひかりが影のよう
冷感症のおんなの背中には
絶頂のあとの汗が垂れ ....
ふと、目をやる
視線の先には 木蓮
ここ数日
一けた数字の寒さの日
もこもこに着込み
大判マフラーの間から
景色を見ていた
ベージュに近い2センチほどのつぼみ
....
自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる
コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター
....
(ふるる 街に
リルケが 今宵も
遠く
灯りに (ふるる
砂の十字架
闇のブーケに
光る ) 壊れたリルケが
(ふるる 白い はら
....
リアルなところにいるキミがすき
あったかくて やさしくて
いいやつなんだ
日本酒ばっかのんじゃって
ご飯をちっとも食べないの
肝臓にわるいぞ
ちからが出ないぞ
あた ....
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