閉館時間もとっくに十年過ぎて
ひとっこひとり見当たらない図書館
そこでは書物の重さも
なーんも知らない子どもが
本を積み上げ愉快に遊んでいる
言葉には危ないから近づいちゃ ....
<伝える>
ひとつの言葉に
ひとつの意味しか
与えられていなかったら
ちゃんと伝わるのかな
肯定と否定の
二者択一で
チャートを辿っていけば
簡単に真理に近づけ ....
深く人を傷つけるのに、罪が軽すぎる犯罪。
再犯率は70%以上とも言うのに、何の対策もされない。
捕まえて、被害届けを出すと裁判に行かなくちゃいけない。
そのお金も時間も苦痛も、ありえないくら ....
あの頃の空に似た、
私の、
命の結晶。
硝子細工を
あるとき突然、光が見えなくなった。
それを畏れていたわけでは無い。
それを理解していたわけでも無い。
....
檻の中に
一匹ずつ
入っていて
「お家に連れて帰ってね。値下げ、半額!」
っていう
カードがついてる
人懐っこいオマエ
大きくなりすぎたね
そういうことってあるんだ
運が良ければいい ....
翳る空に 浮かびくる
はじめてなのに 懐かしい
影と光 色とかたち この想いは何?
雨がやさしく降り出す
濡れる道から沸き立つ
雨のにおい 胸を焦がす この記憶は何?
....
ちらちら
輝く
確かな夜景
どこまでも続いて
どこまでも
どこまでも
明かりのない
夜の道標
あの灯の下には
人々が暮らしていて
切ない
歩き出すなら
夜がいい
どこまでも
どこまでも
き ....
つかめないカラダ
はなせないモノ
えがけないキセツ
いまのワタシは
からっぽだから
なにが
いいのか
いつもわからなくて
なきたいような
わらいた ....
空から
落ちた日のことを
おぼえていない
海を
ながめることを海として
その浅きをのがれる
すべにおぼれる
太陽はもう
ことばではないけれど
確かにぬくもる
....
観察室から
病室に戻った日
夕方
鉛色の空に
虹が出た
儚く
でも色鮮やかで
ガラスのような
こんなに
美しいものが
あるなんて
消えるまで
見ていた
鉛色の空に
滲んでいく
虹を
わたし ....
「愛あるいは天使のような」
どこまでも続くかのように広がる
白樺の森を抜けて 僕は行くよ
アナスタシア 揺り椅子で眠る
君の失った右足の膝下に
赤い 赤い 靴を置いた
は ....
夢で錆びた戦場
君に借りた感情
これでいいのかわからないよ
とうに決めた弾道
いつもどうり振動
もう何度目のことだろう
また誰もいない部屋で
一人窓を眺めては
引き金はまだ引か ....
僕がみつめるひとはそっぽを向いて
僕をみつめるひとと目を合わせずに
交差点ですれ違いゆくお互いの間にはいつも
この手に触れ得ぬ、宙に浮いた
空気の破れ目がある
立ち止まり ....
ひときわあかるくなっていった、
きみが
彼方にいる、そのとき
繰り返すことが
できるものだけが
ある
たしかに、彼方というものはなかった、
彼方にはだれもいなかった、きみが
そ ....
空色が聞こえる
カーテンの向こうの天体
の数を数える
白いのがひとつ
銃声がふたつ
イエスタデイ
と呼ばれはじまる今
カナビスシード
密の味のする
マイナス三度
....
■ミッドナイト・シャワー■
ミッドナイト
月のナイフで切る指に怖いほど、まだ滴るカシス
甘い、赤
舐めて
瞳に翻る
純情、孤独、叫ぶキラメキ ....
いつか王子は来てしまうのだ。
おまえが歯ぎしりして拒むとしても、
涙して拒むとしても、
涎して拒むとしても。
王子なんか来ないという戯言を信ずるな、
王子は来る。
おまえの手は雨に汚れる、 ....
入園して夢の国に来た
金払って夢の国に来た
千葉に夢の国があった
東京ディズニーランドへようこそ。
臆病な僕は、夢の国の愉快な仲間達から逃げてしまう。
彼らは
おどけた仕草 ....
僕らは辿り着きたい場所に
巡り会ってしまって
魅了されてしまった
海図を手に入れる間もなく
気が付けば大海原
銅鑼の音も紙テープも汽笛さえなく
もちろん羅針盤もないから
ただ信じ ....
1.
五線譜の上に
真夏の
影を溶かし込んだ
日焼けのあとに そっと
くちづけをする
あけはなした窓から吹きこんでくる
セピア色に塗り固められた
チャイムの
残響
....
{画像=080722004625.jpg}
飛べ 飛べ
おれよ 飛べ
まっしぐらに 飛べ
何も考えずに 飛べ
踏み切って 滞空する時間に
脳裏をめぐる 想いは
展開の素早さに ....
・
夜
飲みさしのコーヒーの中に
砕けた夏を発見した
掬い上げようとしたら
逃げるみたいに砕けて沈み
底の方で銀色に光っている
人差指でかき回すと
跡形もなく溶けてしまった
....
夜のおわりのはじまりの朝
シーツの広さを掌で思い知って
二人のおわりのはじまりの一人
残り香がひんやりと胸を掠めて
昼のおわりのはじまりの夜
未練たらしい影法師が踵から生えて
夢の ....
悲しいから
泣きましたら
そっと
母は抱いて
くれました
あぁ
温かいなあ
と思った
時には
もう遅く
私は冷たく
なっていくのです
母の手で
ゆっくり
ゆっく ....
僕の名前は皆月零胤 でも名前はまだない
多分それは小学五年の夏休みが折り返した
そんな時期だったと思う
空き地の隅には僕たちの秘密基地があった
それはホームレスのビニールシート ....
かなしみを
おもいだすために
すぼめられる
唇から
洩れる
外国の うた、
....
必要 必要じゃない
大切 大切じゃない
好き 好きじゃない
君と僕の接続エラー
日常茶飯事接続エラー
「原因は不明です」
だって説明書には載ってない
それ ....
なんで
空って青いの
しくみじゃなくて
理由が知りたいんだよ
でもそれは
なくっていいんだよ
答えは
なくていい
ぼくは考えていたい
悩みにも似ている
だからすぐ悩む
だけど ....
夜に拾った球を舐めてはいけない
わかっていたはずなのだ
私は舐めてしまった
砂利道の中に落ちていた
黒い小さなビー玉
始めは頬がシリシリと痺れ
舌は硝子の冷たさと甘味
腐った葡萄か苺 ....
なにもたべずに、朝
あたらしい電車のはしっこからはしっこまで
わたしは仕事に出掛けていく
どんなに長い距離も
君のそれと交差することはもうないけれど
それでも駅に停車する度、未だ息が止ま ....
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