完璧な涙
A道化




みずから
無数の眠りと共に飲み込まれ
問われないおんなの言葉は
眼を閉じながら
日没よりも静かに
日没よりも永く
海底の無色へ沈みます


ああ、もう間に合わない、
皮膚さえ持たない裸になって危うい小さいその盲目が、
もう、間に合わない、
あなたの知らない深海に、ほら、適してしまう、


おんなの言葉が溶けて
深海は
ゆらり、濃厚な
完璧なひとつの涙となり
もう零れることもなく
目も耳もない魚たちをただ
ゆらり、濡らしています


2009.2.10.


自由詩 完璧な涙 Copyright A道化 2009-02-10 08:52:54
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