マニラでの数日
吉岡ペペロ

マニラでの仕事は十分で終わった
事務所に顔を出しただけで終わらせたのだ
日本の社長の心ない言動で
まったくやる気を失っていた
まあ自分で指示を出しておいて
途中で梯子をはずしてきたということだ

三日間ほどマニラ市街をうろついた
自由にさせてもらってるんだからこんなこともあるさ
とにかくぶらついた
だらだらと汗をかきながら
ミネラルウォーターより安いビールを何本も飲んだ
いや、何十本も飲んだ
廃線の脇にスラム街があった
洗濯物には子供の服が目だった
今流行りの洋楽が聞こえる
子供たちが目のまえではしゃいでいる

さいごの夜は焼肉にした
スナックの女の子と一緒だった
大学では日本語の勉強をしていると言う
話しているうちに
日本のヤクザの女であることが判明した
ふたりで闘鶏を観にいった
なにが面白いのか
鳥に興奮を掻き立てられることはなかった
女の子の自宅は一人暮しのマンションだった
おまえの旦那突然来たりしないよな、
そんなん、滅多にあらへん、
彼女の関西弁がこわかった


自由詩 マニラでの数日 Copyright 吉岡ペペロ 2009-05-24 12:56:05
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