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渡り鳥が旅立つ
渡り鳥の目の中で
僕は故郷を目指す
故郷などもうないのに
日が暮れる
眼下の家々に明かりが灯る
かつて僕の家だったあたりも
他人のように冷たく光っている
....
伝えたい気持ちを形にして
あなたに届けたいけれど
そもそも私には形がなかった
とでも伝えたいのだろうか
どこかから吹いてきた風が
もう一つのどこかへと走り過ぎていく
その向こう ....
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる
えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う
目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....