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幽かに残された血の色が、
うっすらと赤く滲んだ )))
香ばしく焼けた肉の塊りを
荒々しく丸ごと無造作に載せ、
じゃが芋と人参のグラッセで飾った
輝く、銀のオーバルトレー
猥(みだ)り ....
生きる意味について
考える事ができる
食べ物がないのなら
飲む水がないのなら
意味など考えないだろうに
明日生きることだけを
考えるだろうに
自分の中の本能に忠実に生きるだろ ....
その名前で呼ばれるたびに
本当の名前が海の底に沈んでゆく
こうしている間にも
想い出はつくられているというのに
似たような体温で君は僕の名前を呼ぶけれど
君は僕の本当の名前を知らないし
僕 ....
080910
夾竹桃に絆されて
ここまで来たのです
行きたい場所に
連れて行ってやると
いわれ続けて50年
もうこれ以上登れない
階段の先を眺め ....
この街は夜が早いので八時九時にはもう店は閉まりきる
昼のにぎやかな通りは明るい街灯を残し
ひっそり寝静まってしまうのだった
カップルの散策も終わり、客足もドンチャン騒ぎもなく
波の ....
今この瞬間
このタイミングで
あの日
じいちゃんは何を思って居たのだろう
確かまだ
南の島で
息を潜めていたのでは
無かったろうか
いや
野戦病院
だったろうか
それとも
帰国 ....
じゃぐちをひねったら
鎖骨から流れ出ている
それはスウェットのしずく
水のように ろ過されて
気高い指で曲がったスプーンの
枝と枝をつなぐ
わたしの
鼻骨(けして高いものではなく)
....
心臓が集まるとファンタジーになる
初秋に夏をふり返る日
スパイスをスプーンいっぱいほおばるような
日常のすてきな刺激のような
心臓がより添うときを
見たような日
旅から戻ったベ ....
暖かかった記憶の季節を
セピアの幻想に委ねた
涙も出ないまま
現実と幻想の区別もつかなくて
僕は狭間で漂って
たまによく知らない歌を口ずさむことくらいしか
出来なかったんだ
....
夜道に光る自動販売機の横に
「TRASH」と黒字で書かれた白いゴミ箱が
暗闇の丸い口を開けていた
空っぽのペットボトルは棄ててもいいが
棄ててはいけないものもある
旅人の ....
あいするそのひとは
いのちあるひと
あいするそのひとは
ひかりあるひと
あいするそのひとは
うたのある ....
―――いつも雨の音がする
ひんやりと冷たい、鉛の棒で、
心臓をゆっくり刺し貫かれるような違和感で目が覚める、
午前3時、のろのろとベッドを這い出して、
レジ袋から転がっているペ ....
私という生命が
物事に感応した時
私の心は何故って
私自身に問いかける
私はさまざまな言葉の森を彷徨い
その意味する言葉を探す
簡潔に 適切に見いだした時
その言葉の群れは
ド ....
涙にぬれた街角や草木の生える路地裏で
煙草をふかし帰宅する
わが道は遠くにあるけどつかめると
祈りは遠く何百光年の彼方にあって
叶うものと信じているが
星空みえない都 ....
こうしたらこうなる、
それは幻想だ
そんな思想に価値はない
自然に身を任せることが
むずかしいのは
この幻想にとらわれているからだ
谷間のひかり、のような幻想、 ....
そんなこともあったっけ…
あれは息子と歩んだ道
四谷大塚の教本や模試の受験票が
ジグゾーパズルのように
断片となってパラパラこぼれていく
うまくつながらないのは
終わってしまったも ....
地球を飼いたい
掌に乗るくらいの
小さな小さな地球があったら
わたしはそれを飼って
今度こそ
大事に大事に育てたい
毎日、綺麗な水をあげて
毎日、空気の綺麗なところで散歩をさせて
熱が ....
片手で空中にまるをつくる
親指をくちびるにもってゆき
その場の空気を吸い込む
恐怖も限界も肺にためつつ
決して傾かず真っすぐに息を吐き出す
履き心地の悪い靴なんて捨てちまいな ....
疲れ果てて
色褪せた
繁華街の朝を通り抜け
ガラガラの電車の
ドアのすぐ側の席に座り
手すりに頭を預けたまま
揺られる
満員電車とすれ違うたび
何かが足りないような
そ ....
こ/わ/し/て/
まだ眩しいころ
なつの名残りが
ひざの裏にある目が
後ろにいるあなたをモ、ト。めていた
とぶなら鳥に
はね ....
080902
ダから
タまで
一瞬のうちに
走り抜く
タ行の音列
−−−−−−−
−−−−
−
−
攻撃する運命
防御する本能
....
空が高い
空が溢れそうなほど膨らんでいる
今日の地球は いつもより ひとまわり大きい
白い跡をつけながら
西から東へ飛行機
ただ青い中を
東から西へ滑る 白い翼もあって ....
{画像=080831113523.jpg}
私の中に
醜いなにものかがあって、
私が私であるようにしている。
私の中にあるなにものかを
しっかりと掴みだして、
目の前においてみよう。
....
どうやらボクら
だまされているらしいよ
いつもオジサンオバサンって
ボクらもおんなじに
普通のヒトになるようにしているだけなんだって
オジサンオバサンの感じなように
させようとして ....
例えばわたしは赤信号しかしりません
博士はそれに腹を立てたのです
それから幾つもの工具を取り出して来たかと思うと
脳内チップを取り出しました
例えばわたしは赤信号をしってします
例え ....
ちょっとだけ焦げたトーストに
マーマレードを丹念に塗りつけながら
行間が欠伸している新聞記事を
接続詞のように眺めていた
かなりぬるくなったコーヒーを
スプーンで執拗にもてあそびなが ....
今日も列車はゆっくりと走り出す
人々が不安げに見る
車窓の外の遠い山に身を埋める
観音像は
すべてを{ルビ識=し}っているように
瞳を閉じる
自分で望んだ記憶も無く
....
ねえねえと肩を揺すっても
寝たふりしてたはずの
あいつは
いつの間にか深い眠りに落ちていて
久しぶりに触れ合いたかったのに
わたしのこころは
ちょびっと傷ついてしまった
それでも ....
明日のことばかり考えている彼女と
昨日のことばかり振りかえる僕
針で突いては
月は破れ
倒れこんだ水のない
手もつなげない花が二輪
カーテンレールの、かららと転ぶ音
風が吹いてる ....
詩が生まれないこと
満腹な証し
なにもいらない
なにももとめない
言葉は
ことばであればいい
深みもなく
潤いもなく
その場限りの
ものでいい
詩はないほうがいい
幸せなもの ....
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