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その岩は岩でしかない。
だからただ、そこに居る。
雨が降り、風が吹き、雪が積もり、雷が落ちても、
その岩は岩でしかない。
ただそこに居続ける。ちっぽけなふやけた岩だ ....
逃げるんだ逃げるんだ。
鬼が来るから逃げるんだ。
家も家族も生活も、みんな捨てて逃げるんだ。
梅雨の雨に涙を隠して、
梅雨の霧に身を隠して、
蜜夜の闇に君は守られ ....
唇で、
嘘をついて、
君の中に、
忍び込む。
舌には舌で、
指には指で、
嘘をついて、
君へ、
滑り込む。
甘い汗、
舐めて、
蜜。
吐息、 ....
これは天使の羽の痕なの。
肩の傷跡を指差して、
彼女は笑う。
ここに白くておっきな羽があって、
ばさばさばさぁーって羽ばたいて、飛べたの。
でもね ....
そんなに強くしないでと、
君はいう。
構わず痕を付ける。強く。
あいつの知らない場所に、おれの痕を付ける。
おれを愛した唇で、
あいつを愛撫して、
おれが愛 ....
君に触れたことはない。
君を弾いたこともない。
だけどこんなに心惹かれてる。
これは君のため息。
心弾かれて、今夜も音を愛撫する。
....
飛びたくて、飛べなくて、
逃れたくて、逃れられなくて、
おれたちは窓から堕ちてゆく。
毎日と一日と、ありったけの今日。
翼がないおれたちは羽ばたくしかない。
この腕で ....