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クリスタルの ボールが 放られると
ぼくらの ふたつの 土地や からだに
いのちに 焼かれた 対話が かがやいた
放擲 された ボールには ふらふら 泳ぐ
天の 子 ....
ねぼけ まなこの アトリエ
いっぱいに 陽光は 満ちて
画布には 旋律から 対話への
やがて ひとつに 見える 道が 伸びる
( それは きつねの なの? うさぎの ....
また 春が きた って だれかが いう
とめどなく 梅は ほころび
いぬふぐりは 淡く むらさきの 列を 走る
つぶらかな 音で ころ ころ と
ひとなりの {ルビ絃=いと ....
その ほほえみは 生理と いわれる
世に 生まれ 立った きみは まだ 3箇月
歓喜の 波が 寄せる と “ にこ ” と わらう
ときどき 声が 洩れるのは 成長が こ ....
見えては いなかった...
かっこうの 産声が 森を 編み
絹糸を 伸ばして 進み ながら あおいで いた
どうしようもなく あかるい 双眸の 記憶の 波が
茫漠とした ....
八月 二週 また 入院暮らし...
ガラスの塔のなかで、優しいひとらに、接しながら、病と添い寝して。
夏は、晩夏を迎えて、( もう、立ちつくし、亡くなっているのかも、しれない。 )
....
裸足で しるされた やはらかい 足跡に
さらさらと 波が 水を しみこませてゆく
その消滅の a・b・c(ア・ベ・セ)たちの
静かに 弾けあがってゆく モノフォニーの
....
国境には まだ 霜が 降りて いた
ぼくは ひとさしゆびを かかげて
空 いっぱいに 伸ばした
虚空の なか 水の 夜明けの アラベスク
{ルビ四十雀=しじゅうから}が ....
にわか雨は 去り 桜草の 露の うすももいろに
ぼくは きょうを 生い 立って ゆく
( 撒き 散らされたんだ )
それは ブリリアントに かがやいて
偶成の 初夏 ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ
とは ちがう 美しい まだらな 編み物の
精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで
なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた
....
そこでは ぼく と あなた と だけ だった
ふたり... 手のひらの 傷穴 を 帰って いったのは
日がな 窓の眼の まま いっぱいに
高まり 止んでは ....
月 星 を 必要と しないよ
陽光を 恋さない つれない 夜
あたりが 眠りの なかに あった 夜 に
茫洋な 空路から たましいの まなこたち が
目ざめを 見開 ....