採取した指紋が
すべて蝶になって
飛んでいった
 
鑑識係の実家では
今日も一日中
雨が降ってた
 
妊婦がひとり
味見をしている
長い休みの
か細い台所で
 
 
まだ幼い車掌の
ポケットの中で
紙の羊は
長く生きられない

かつては命の一部として
穏やかな日の光を
浴びていた気もするけれど

めー、と
ひとつ小さく鳴いて
もう誰に
 ....
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
 
 
+
 
 
眠れないとき ....
 
あなたがブリキの本を開く

かつて繁栄した都と
路地裏で生き抜いた猫の
長い物語が始まる

朝から駐車場を壊す音がする日
僕は電柱を売りに出かける

どこか遠くで
孤独に電柱 ....
 
 
コインロッカーの側に
コインロッカーがあって
そのことだけが
片隅のようなところで
どこまでも続く
何もない、の人が
鍵を開けていく
と、少しずつ
指はあやふやになり
僕 ....
 
白地図に雪が降り積もる
数える僕の手は
色のない犬になる
古い電解質の父が
真新しい元素記号を生成している間に
妹は今日はじめて
言葉を書いた
それを言葉だと信じて疑わないので
 ....
時折街を吹き抜ける 
生ぬるい風の嘲笑を背に 
雑踏に紛れた孤独な旅人は 
口を結んで今日も 
スクランブル交差点を渡る 

( 寂しさは 今にも唇から 溢れそうだ ) 

古本屋の棚 ....
喜びのかたわらに悲しみはあって

そしてときどき
僕は盲目になる

あなたの細いゆびさき
ピアノをはじく繊細なおと
それはきっと記憶のなかでのこと
あなたの器用なゆびさき
ヴァイオリ ....
傷をなめあえば



特別になると思っていたかも
ふと


空を見上げると



星はなく



まるで黒く塗りつぶされた



芸のない美術



誰だろう誰もいないのか



針の先で穴を開けていく



魔を従えた無味乾燥な空を  ....
まだ夢のなかで
ココナッツ畑の
果実を収穫するときみたいに
静かなバスルームで
のどかな夜明けは
すでに始まって
まどろみは甘くかおり
水滴となり流れ出す

  ∽

たっぷりと ....
君はおれだ

君の中に生き続けるよ

別れじゃない

ずっと

一緒だから

風の音がする

夜明けが近い


〜「誰がために鐘は鳴る」から
眠れたのだろうか
憔悴した頭は
おぼろげで
ぼろぼろで


眠れたのだろうか
澄みきった空気は
ひとりきり
ひといきれ


くたびれた薬缶の
泣きやまない声が
部屋中を飛び回って
忘れられる日は ....
それはきみがくれたものだ

かなしみというものだ

俺はそれをどうするでもなく

ただおもむろにポケットにしまう




まぶたを忘れるほど

夕陽が落ちていた

拾うのも勿体なくて ....
どうでもいい



世界はもう終わりだ



幸福は疲れ果て



喜びは血の涙を流す



ああ、報われないなら



始めからそうだと言って呉れ ....
それでも好きと言いました



自己陶酔の自己懺悔



愛する人には捨てられて



愛する友にも見限られ


それでも天に神様は居まし


形而上の ....
いつまでも続くような 
ひとりの加速道路を 
たらたらと運転しては 
サイドミラーをびびって覗き 
High Wayに入れなかった 

もし勝負の分かれ目があるなら 
合流前の加速時に  ....
「次のニュースにまいります」

淡々とした口調でアナウンサーは暗いニュースを読み終え
明るい話題に切り替えた

よくある日常の風景

僕は暗いニュースが風化してしまうことが

ただ  ....
嵐が去ったあとの
うっとりとした
天気雨がふる夜に
穏やかな波が渚に
はじけていて
潮のよせる音が
白い灯台の中でも
吐息のように響いている


塔のてっぺんの方へと
約束をした ....
ひかちゃんが
幸せになるか、不幸になるかわからないけど

きっと

自分にとっての幸せってなんだろう

って考えて
探求できる子にはなると思う。


って今日着た手紙には書いてあ ....
指でなぞる
水の裏側
剥がれていく
記憶のような
古い駅舎
影踏み遊びをしながら
呼吸の合間に
母とひとつずつ
嘘をついた
砂漠に父は
キョウチクトウを
植栽し続け
一面き ....
{画像=080612025137.jpg}

デジャヴ 昔あった情景

窓から見えるカップル

通り過ぎるファミリー

どこかで見たような記憶

    *

デジャヴ 昔 ....
 
ベランダの浮輪に
バッタがつかまってる
夏、海水浴に
行きそびれて

書記官は窓を開ける
木々の梢の近く
監査請求書が何かの水分で
少し湿っている

白墨の匂いを残して
物 ....
どうでもイイと
なげステルより
ナントカしようと
がんばるほうが
おれたちラシイ
上昇する空に
なすすべもなく
はじめて聞く翼の音に
耳をかたむけた朝
土は懐かしく湿り気をおびて
無数の記憶が飛び立つと
残された孤独の夜が
夢の中から
僕を見降ろしてる
いたいけな経験値が
ちくちくと目玉を刺す夕暮れ

(そっちにいってはいけないよ)
(あっちにいってもいけないよ)

泣くことも忘れて
瞬きばかりをして今を耐える
手を引かれ ....
                 080519







癒着した粘着液を
B29から落とし
不発弾に垂らし
静かに土を被せ
そのままにしておいた

不安が的中した
 ....
二番地の内田さん    前田ふむふむ

白いあごひげをはやして、美味しそうに、キリマンジェロを飲む、二番地の内田さんと呼ばれている、この老人は、若い人と話をすることが、何よりも好きだ。よく、真面目 ....
葉っぱたちのとがったきっさきをさっきから風がはげしくゆらして
じべたに並べられた各種弾頭のことを考える
雨上がりのひんやりとしたゼリーのような中を
ゆっくりと自由に空気を押しながら
あたしは記 ....
 
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった

下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった

 ....
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