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じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
子どもの頃
毎日なんか 食べられなかった
母さんと おつかいに行って
ときどき買ってもらって
店先のベンチで食べた
さほど高くもない
小さなカップのアイス
嬉しいのは
冷た ....
心の中の本棚に
私小説が増えてゆく
主人公は
いつも不器用で
哀しいほど
いつもみっともない
誰が読んでくれるでもなく
ただ
収められてゆく
落胆のため息とともに
それは ....
きぃ
きぃ
きぃ
身体ごと
時間ごと
空に放り出される
日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
説明が出来ない
キッチンの片隅
気付かれないように
涙が流れた
想いは
こぼさないように
シンクの横に
そっと置いたまま
君の夕飯を作った
テレビに目をやりながら
明るい声 ....
目的地を探して
彷徨う心の軌跡は
直進し
蛇行し
迂回する
高い山の頂上を
目指すルートを探しているなら
地図を調べればいい
かつて登った者に尋ねてもいい
頂上の
その一点が
....
あなたにとって
私はいい女かなあ
君にとって
私はいい母親かなあ
彼らにとって
私はいい娘かなあ
どこをとっても
ポンコツな気がする
いつか
最後の日に
つくづくポ ....
手を差し出せずに 僕たちは
手を繋げずに 僕たちは
それでも互いの温もりを
感じたくって
確かめたくって
他に知らなかったから
蹴ってみた
ぶってみた
突き飛ばしてみた
踏み ....
どうにか起きた
朝5時前
闇には 冬がまだ居座る
動きたくない
温もっていたい
そんな心を 叱りとばして
私の今日が始まる
辛いなあ
眠いなあ
だ ....